(フラダンサー)ダンサーというもののすごさを、いっしょにいるようになって思い知った。毎秒、毎瞬表現している。俳優とは違う。顔とか、解釈の表現ではなくて、体がまわりじゅうの世界の雰囲気を感じ取って、勝手にいろいろなものを表してしまう。チャネリングとか、予言とかよりもずっとダイレクトな、宇宙との交信だと思う。
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踊る・舞う
フラダンス
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前後の文章を含んだ引用
......えた。さとうきび畑がにじんだ。 あざみさんの素直な涙が筋肉質の首筋を伝っていくのが見えた、それは大地に降り注ぐ優しい雨、まるで世界のための養分みたいに思えた。 ダンサーというもののすごさを、いっしょにいるようになって思い知った。毎秒、毎瞬表現している。俳優とは違う。顔とか、解釈の表現ではなくて、体がまわりじゅうの世界の雰囲気を感じ取って、勝手にいろいろなものを表してしまう。チャネリングとか、予言とかよりもずっとダイレクトな、宇宙との交信だと思う。 だから男の人はみんなダンサーが好きなのだな、と私は納得した。 目を腫らしてそんなふうに暗く悲しんでいてもあざみさんはきれいだったからだ。「ああ、石けんシャンプ......
単語の意味
体(からだ)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
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踊る・舞うの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ラジオ体操をやっているような踊り
西木 正明 / 『幸福』行最終列車 amazon
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フラダンスの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(フラダンス)複雑なステップを踏んで、ゆっくりと回転し、パウスカートのすそがひらっと空間をなでた。風の吹くような優雅さであざみさんは手を右から左へと波打たせていた。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
(フラダンサーは)病室でも踊っていた。最後の日のパパはそれをうっとりと見ていた。天女を見るみたいな目で。
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(すばらしいフラダンサー)ひとたびあざみさんが右足を前に出して踊りのかまえに入り、音楽やイプという太鼓の音が聞こえてきた瞬間に、何かが変わる。彼女をとりまく空気もぴんとはりつめ、空間がさあっと広くなるのがわかる。 ほんとうにすばらしいダンサーは世界を止めることができるのだと私は思っていた。 そして彼女が踊り出すと、そこから魔法が始まる。感覚の全てがオンになって、彼女は自分から選んで神や世界への供物になる。きっと神様はどん欲で、お米や花や果物が盛ってあるお皿では満足しない。美しく神聖な女が動いていないとだめなのだ。美しい肉体は別に求められていない。きっと彼女のまわりで動いている空気の色や質が見たいのだと思う。 神様、その気持ちわかります。と私はいつでも思う。そう思うとき、神様を近しく感じる。 これ以上に神が創った世界を讃えるやりかたがあるだろうか、とあざみさんの踊りを見ていると思うのだ。あざみさん本人さえも世界への愛を表す道具になってしまうくらいに、踊りは彼女を乗っ取り、この世の奇跡の流れの一部にしてしまう。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
歌の意味に合わせてマサコさんはゆっくりと波の形をその細い腕で作った。私はそこが急に静かな砂浜に変わったのを感じた。波が寄せてくる。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
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「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
その時不意に博士が立ち上がり、拍手をした。たとえフェルマーの定理を証明した人でさえ、これほどの称賛は受けられないだろうと思うような、力強く、温かい拍手だった。それは家中に響き渡り、いつまでも鳴り止まなかった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
新しいビールのプルリングをむしりとった。
村上春樹 / パン屋再襲撃「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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