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(すばらしいフラダンサー)ひとたびあざみさんが右足を前に出して踊りのかまえに入り、音楽やイプという太鼓の音が聞こえてきた瞬間に、何かが変わる。彼女をとりまく空気もぴんとはりつめ、空間がさあっと広くなるのがわかる。  ほんとうにすばらしいダンサーは世界を止めることができるのだと私は思っていた。  そして彼女が踊り出すと、そこから魔法が始まる。感覚の全てがオンになって、彼女は自分から選んで神や世界への供物になる。きっと神様はどん欲で、お米や花や果物が盛ってあるお皿では満足しない。美しく神聖な女が動いていないとだめなのだ。美しい肉体は別に求められていない。きっと彼女のまわりで動いている空気の色や質が見たいのだと思う。  神様、その気持ちわかります。と私はいつでも思う。そう思うとき、神様を近しく感じる。  これ以上に神が創った世界を讃えるやりかたがあるだろうか、とあざみさんの踊りを見ていると思うのだ。あざみさん本人さえも世界への愛を表す道具になってしまうくらいに、踊りは彼女を乗っ取り、この世の奇跡の流れの一部にしてしまう。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 ページ位置:19% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......ざみさんはふだんもきれいだが、ふだんの彼女は必要以上にオフになっていると思う。その美しさの半分も表に出していない。ただのちょっときれいな人という程度だ。 しかしひとたびあざみさんが右足を前に出して踊りのかまえに入り、音楽やイプという太鼓の音が聞こえてきた瞬間に、何かが変わる。彼女をとりまく空気もぴんとはりつめ、空間がさあっと広くなるのがわかる。 ほんとうにすばらしいダンサーは世界を止めることができるのだと私は思っていた。 そして彼女が踊り出すと、そこから魔法が始まる。感覚の全てがオンになって、彼女は自分から選んで神や世界への供物になる。きっと神様はどん欲で、お米や花や果物が盛ってあるお皿では満足しない。美しく神聖な女が動いていないとだめなのだ。美しい肉体は別に求められていない。きっと彼女のまわりで動いている空気の色や質が見たいのだと思う。 神様、その気持ちわかります。と私はいつでも思う。そう思うとき、神様を近しく感じる。 これ以上に神が創った世界を讃えるやりかたがあるだろうか、とあざみさんの踊りを見ていると思うのだ。あざみさん本人さえも世界への愛を表す道具になってしまうくらいに、踊りは彼女を乗っ取り、この世の奇跡の流れの一部にしてしまう。 いっしょにいると、そのことを忘れて甘えたりけんかしたり憎まれ口をきいたり仲直りしたり、普通のふたりなのだが、踊りとなると私は彼女を尊敬せずにはおれない。 初め......
単語の意味
肉体(にくたい)
満足(まんぞく)
肉体・・・肉から構成されている体。生きている人間の体。生身の体。
満足・・・1.自分の思い通りになって、不満がないこと。これ以上注文のつけようがないこと。申し分がないこと。
2.十分なこと。完全なこと。
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