(フラダンス)複雑なステップを踏んで、ゆっくりと回転し、パウスカートのすそがひらっと空間をなでた。風の吹くような優雅さであざみさんは手を右から左へと波打たせていた。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 ページ位置:26% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
フラダンス
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......っているのが見えた。 ヘッドフォンをしている彼女の耳に聞こえている音楽は、私には聞こえてこなかった。しかしうっすらと微笑んで踊るあざみさんが音楽そのものだった。複雑なステップを踏んで、ゆっくりと回転し、パウスカートのすそがひらっと空間をなでた。風の吹くような優雅さであざみさんは手を右から左へと波打たせていた。 その向こうの海や山を見て、この踊りはこの島で育ったものなんだなとあらためて思った。風に溶けてしまいたいと、こんなに思わさせられる場所はないだろう。夕方が近いと......
単語の意味
優雅(ゆうが)
優雅・・・上品で美しいこと。気持ちや雰囲気にゆとりがあるさま。
ここに意味を表示
フラダンスの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(フラダンス)それに、ステージの上のあざみさんはだれよりも輝いていた。 長い髪の毛が生き物のように揺れ、スカートがきちんとリズムを刻んで、顔はうっとりと優しく微笑み、肌はぴかぴかに黒かった。裸足の足が床に触れるごとに世界が喜んでいるのがわかった。ああ、世界は今彼女を愛している。そして彼女も大きな美しさを世界に返している、そう思った。 その交歓は官能的ではあったが、全く 淫靡 ではなかった。 まるで花が性器であるその部分を太陽に向かって大きく開いてその香りや色で人びとや虫たちを幸せにしているような感じだった。生まれてきたこと、今、この世に存在することの歓びがあふれていた。それは一方的なものでなくて、世界も彼女がいることを喜んでいるのだった。踊りという言葉でそれは空間に広がって、また戻ってくる。その光に私は魅せられた。 ああ、こういうのが恋っていうんだ。世界も彼女に恋をしているけれど、彼女を欲しがってはいない、そう感じた。それなのに彼女は全身が蜜みたいに甘くしっとり濡れている。世界は彼女を見たがっている。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
(フラダンス)複雑なステップを踏んで、ゆっくりと回転し、パウスカートのすそがひらっと空間をなでた。風の吹くような優雅さであざみさんは手を右から左へと波打たせていた。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
あざみさんが踊りだすとまわりの空気も表情も切り替わるので、私もいつもながらはっとした。あざみさんが動くごとにたくさんの花が見えるようだった。香りもしてくるし、その量も形もめくるめく勢いとそして不思議なゆるやかさで伝わってくる。 その裸足の足は床をなでるように動いてゆく。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
(フラダンサーは)病室でも踊っていた。最後の日のパパはそれをうっとりと見ていた。天女を見るみたいな目で。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
少年は素裸にされて、手足を押さえつけられ、小人の国のガリバーになった。
島田 雅彦 / 聖アカヒト伝「ドンナ・アンナ (新潮文庫)」に収録 amazon
顎の先を何ミリか動かして短かく肯いた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
動作・仕草・クセ の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ