(うな重)重箱の敷地いっぱいに、ふっくらと焼きあがった蒲焼きが展開している。 焦げ目なく、焼きむらなく、タレを十分に吸いこんで色つや良く、それより何より「敷地いっぱい」が心嬉しく、思わずハシが動いてしまう。 重箱の隅を一区画、ハシで切り取って口に入れる。むろん皮はハシで簡単に切れ、ゴムのように伸びたりはしない。
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 ページ位置:39% 作品を確認(amazon)
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うなぎ
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前後の文章を含んだ引用
...... 白焼きを大急ぎで片づけ、うな重のフタを開ける。 いよいよ名店のうなぎとの御対面である。「フム、フム。なるほど」 これが名店の、本当の本物のうな重であったか。 重箱の敷地いっぱいに、ふっくらと焼きあがった蒲焼きが展開している。 焦げ目なく、焼きむらなく、タレを十分に吸いこんで色つや良く、それより何より「敷地いっぱい」が心嬉しく、思わずハシが動いてしまう。 重箱の隅を一区画、ハシで切り取って口に入れる。むろん皮はハシで簡単に切れ、ゴムのように伸びたりはしない。「タンスにゴン」は、匂わないのが正しいが、うなぎの皮は伸びないのが正しいようだ。 口に入れると、うなぎとゴハンが、どこからどこまでうなぎで、どこからどこまでがゴ......
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うなぎの名店でうな重を注文すると、小一時間は待たされるという。
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 amazon
天然のもので、三代にわたるつきあいの、利根川の業者から仕入れ、冬になると、秋の下り鰻を水田に入れて半冬眠させ、必要に応じて割く。
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
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