TOP > 人物表現 > 記憶 > 忘れられない・心に強く残る
彼はそのとき幼い娘の心に深く残るなにかを語るべきだったのだ。彼女がそれを熱源にして、自らを温めていくことができる滋養あふれた言葉を。この太陽系第三惑星における彼女のおそらくは根拠不確かな人生を、曲がりなりにも支えてくれる、軸となり柱ともなる言葉を。すみれはまっ白なノートの1ページめを広げてじっと待っていたのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:4% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
忘れられない・心に強く残る
胸に響く言葉
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......ている。 父親はよそを向いて、しばらく考えていた。それから言った。「とても物覚えがよくて、字のうまいひとだった」 奇妙な種類の人物描写である。ぼくは思うのだが、彼はそのとき幼い娘の心に深く残るなにかを語るべきだったのだ。彼女がそれを熱源にして、自らを温めていくことができる滋養あふれた言葉を。この太陽系第三惑星における彼女のおそらくは根拠不確かな人生を、曲がりなりにも支えてくれる、軸となり柱ともなる言葉を。すみれはまっ白なノートの1ページめを広げてじっと待っていたのだ。でも残念ながら、すみれのハンサムな父親はそういうことのできる人ではなかった。 すみれが6歳のときに父親は再婚し、二年後に弟が生まれた。新しい母親も美人ではなかっ......
単語の意味
滋養(じよう)
滋養・・・栄養。また、栄養を体内に取り入れること。
ここに意味を表示
忘れられない・心に強く残るの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
身体の奥に昨日の記憶の火照りが残る
黒井 千次 / 春の道標 amazon
このカテゴリを全部見る
胸に響く言葉の表現・描写・類語(感動のカテゴリ)の一覧 ランダム5
本当の言葉って沁み込むんだ。 大地の上で融けた一片の雪のように静かに沁み込んでいくものなのだ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
その一言に、胸をゆっくり強く押し込まれるような感銘を受けた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「記憶」カテゴリからランダム5
まっ黒な過去のドアがかすかにきしんで、最初の曙光が射しこんでくる
ウィリアム・アイリッシュ / 黒いカーテン amazon
「感動」カテゴリからランダム5
人物表現 大カテゴリ