彼を憎んだり恨んだりする気持はふしぎになかった。遅かれ早かれ、いずれはこう捕えられたのだという 諦めの感情が胸を支配しているのである。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:46% 作品を確認(amazon)
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諦める
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前後の文章を含んだ引用
......を売った男である。 キチジローは倒れては起きあがり、大声で何かを叫んでいる。罵声のようにも聞え、泣き声のようにも聞えるが、何を言っているのか司祭にはわからない。彼を憎んだり恨んだりする気持はふしぎになかった。遅かれ早かれ、いずれはこう捕えられたのだという諦めの感情が胸を支配しているのである。追いつけぬことがやっとわかったのか、キチジローは波打ちぎわで棒のように立ったままこちらを見ている。その姿が夕靄の中でだんだん小さくなっていく。 夜、どこかの入江......
単語の意味
胸(むね)
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力以上にはりきって居た凧の糸がフッツリ断れたように生存の意志を喪失した老将軍
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
運命論者のように半ば諦めを心にのせる
芝木 好子 / 女ひとり amazon
諦念の響きさえある声
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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「胸に嫌悪感を覚える」の表現・描写・類語(嫌いのカテゴリ)の一覧 ランダム5
胸の底から吐き出すように 溜息 を 洩らした。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
胸の中をからっぽにするぐらい深いため息をついた。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
彼を憎んだり恨んだりする気持はふしぎになかった。遅かれ早かれ、いずれはこう捕えられたのだという 諦めの感情が胸を支配しているのである。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
(目の前にある)原付を 蹴り倒してしまいたいほどの 鬱屈 した塊が胸にあった。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
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ぽかんとした気を抜いた顔をして、鼻を詰め口を開 けて息をした。
岡本かの子 / 母子叙情
浮び始めた残虐な微笑は、静まった夜の中をひとり毒汁のように流れていた。
横光利一 / 日輪
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