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(皿の上のケーキにたかるアリ)わたしが一番許せなかったのは、生クリームの表面から連なる一本の黒い筋だ。それはとても精巧に流れているので、最初はじっと動いていないように見える。そして二三度瞬きすると、か細くてもろい足が無数に交差しているのが見えてくる。次から次へとわき出してくる蟻は、皿の縁で一度つまずいて、ボーンチャイナの滑らかな光沢の上をよろけながら進む。生クリームにたどりつくと、そのとろけるような柔らかさの中に自分を埋める。不透明な白い脂肪に紛れ込んだ蟻は、もがくように体をくねらせる。それが何匹も何匹も、うんざりして吐きそうになるくらい続く。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:59% 作品を確認(amazon)
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ショートケーキ 蟻(あり)
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前後の文章を含んだ引用
......すみれの花びらが、絵の具のチューブから流れ出てきたままの鮮やかさで、せせら笑うようにくっきりと咲いている。場違いな甘ったるい匂いが、わたしを気持ち悪くさせる。 わたしが一番許せなかったのは、生クリームの表面から連なる一本の黒い筋だ。それはとても精巧に流れているので、最初はじっと動いていないように見える。そして二三度瞬きすると、か細くてもろい足が無数に交差しているのが見えてくる。次から次へとわき出してくる蟻は、皿の縁で一度つまずいて、ボーンチャイナの滑らかな光沢の上をよろけながら進む。生クリームにたどりつくと、そのとろけるような柔らかさの中に自分を埋める。不透明な白い脂肪に紛れ込んだ蟻は、もがくように体をくねらせる。それが何匹も何匹も、うんざりして吐きそうになるくらい続く。 わたしは、この生クリームを口に含んだ時の感触をどうしても想像してしまう。本当はそんなこと考えたくもないのに、舌の感覚が勝手にクリームを掬い上げている。それは日......
単語の意味
蕩ける・盪ける(とろける)
筋立つ(すじだつ)
体(からだ)
足・脚・肢(あし)
蟻(あり)
蕩ける・盪ける・・・1.固体がとけて液体になる。軟らかくなる。
2.心が和む。心の締まりがなくなる。
筋立つ・・・筋が張る。皮膚が張って、筋が浮き上がって見える。
・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
足・脚・肢・・・1.動物の胴体の下から左右に分かれて伸びている部分で、歩いたり体を支えるのに用いる部位。とくに、足首から下の部分をさすこともある。
2.台を支える棒状の部分。物の本体を支える、突き出た部分。また、地面に接する部分や、物の下や末端部分。「テーブルの足」
3.歩くこと。走ること。また、その能力。「足が速い選手」
4.行くこと。また、来ること。また、そうするための手段や乗り物。「客の足がとだえる」「足の便がいい」
5. 餅(もち)などの粘り。こし。
6.損失。欠損。借金。また、旅費。
7.その他、足の形や動きから連想されできた表現として、
・食べ物の腐りぐあいや、商品の売れ行き。「足がはやい」
・(脚)漢字を構成する部分で、上下の組み合わせからなる漢字の下側の部分。「照」の「灬(れっか)」、「志」の「心(したごころ)」など。
・雨や雲、風などの動くようす。「細い雨の足」
・(足)過去の相場の動きぐあい。
・・・アリ科の昆虫の総称。くの字の触覚を持ち、胸と腹と間にくびれがある。地中などで、女王蟻を中心に、雄の蟻、働き蟻(生殖能力のない雌)が階級を持ち集団で社会生活を営む。働き蟻は地上を歩いて食物を集め、勤勉なものの典型とされる。新しく羽化した女王と雄には翅(はね)があり(羽蟻)、交尾後に翅を失う。
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長い蟻の行列が、墓地の一画をえんえんと横ぎっている
阿部 昭 / 阿部昭集〈第4巻〉父と子の夜 無縁の生活 ほか amazon
けし粒ほどの小蟻
葉山 嘉樹 / 海に生くる人々 amazon
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庭の木で蜩が鳴いている。  夏の終わりが近い。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon関連カテ蝉(せみ)晩夏・夏の終わり
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