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彼は決して無愛想というわけではなく、誰かに話しかけられればきちんとそれに答えたし、物のいいようもしっかりとしていた。そうなろうと思えば──いくぶんのぎごちなさは感じられるにせよ──愛想良くなることもできた。しかし原則としては、彼は無口で孤独そうな老人だった。彼は子供たちのことが好きらしく、子供たちが来るとつとめて親切に振舞おうとしたが、子供たちの方はこの老人に対してあまり気を許そうとはしなかった。
村上 春樹 / 象の消滅「新装版 パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 ページ位置:21% 作品を確認(amazon)
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朴訥・寡黙・無口な性格
孤独・一人ぼっち
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前後の文章を含んだ引用
......、髪は固く短かく、目は小さい。これといって特徴のある顔ではないのだが、左右に突きだしたような格好の円形に近い耳だけが、顔全体が小さいぶんだけいやに目についた。 彼は決して無愛想というわけではなく、誰かに話しかけられればきちんとそれに答えたし、物のいいようもしっかりとしていた。そうなろうと思えば──いくぶんのぎごちなさは感じられるにせよ──愛想良くなることもできた。しかし原則としては、彼は無口で孤独そうな老人だった。彼は子供たちのことが好きらしく、子供たちが来るとつとめて親切に振舞おうとしたが、子供たちの方はこの老人に対してあまり気を許そうとはしなかった。 この飼育係に心を許しているのは象だけだった。飼育係は象舎にくっつくように建てられたプレハブの小屋で寝起きし、朝から晩までつきっきりで象の面倒をみていた。象とそ......
単語の意味
幾分(いくぶん)
幾分・・・全体のうちの一部。ちょっと。少しだけ。
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朴訥・寡黙・無口な性格の表現・描写・類語(性格・態度のカテゴリ)の一覧 ランダム5
浅利(あさり)がものに触れたようにふっと口を閉じる
内田 百けん / 冥途 amazon
釣り目で何だか暗くて、ほかのインストラクターの陽気さに比べてその独特のムードは良くも悪くもすごく異質だった。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
素直な表現欲を失っていた。
岡本かの子 / 渾沌未分
ちえ子には帰る家がなかった。 不幸な時代の話ならいざ知らず、今ではよほど珍しい境遇だろうと思うから、口に出したことはない。それが寡黙で控えめな自分の印象となってしまっていることも、よく知っている。
浅田次郎 / うらぼんえ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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孤独・一人ぼっちの表現・描写・類語(寂しい・喪失感のカテゴリ)の一覧 ランダム5
その半年ばかりを僕は暗い穴の中で過ごしたような気がする。草原のまん中に僕のサイズに合った穴を掘り、そこにすっぽりと身を埋め、そして全ての音に耳を塞いだ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
みんな帰っていった後の部屋はいつもより暗く感じる。光が弱くなったのではなく、光源から僕が遠去かったようだ。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
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警部は「ポストが赤いのも何かの陰謀に思えてしょうがない病」なんですよ
七尾 与史 / 死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) amazon
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触れ合うことのない深い孤独の底で、今度こそ、ついに本当のひとりになる。 人は状況や外からの力に屈するんじゃない、内から負けがこんでくるんだわ。と心の底から私は思った。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
独り坂道を馳(か)けおりた少年の日のように孤独
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
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