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列車内の薄暗い明かりが、ゴム長に散っている鱗をきらきら光らせていた。千代はそのときの鱗の光を鮮明に覚えている。それは、重竜の子を宿したその夜の寒々とした 暗闇 に 繋がっていく光なのであった。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:16% 作品を確認(amazon)
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忘れられない・心に強く残る
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前後の文章を含んだ引用
......のゴム長にへばりついている鱗を見つめた。 昔、吹雪で立ち往生している夜行列車の中で、同じように前の席に坐っている行商人風の女のゴム長を見つめていたことがあった。列車内の薄暗い明かりが、ゴム長に散っている鱗をきらきら光らせていた。千代はそのときの鱗の光を鮮明に覚えている。それは、重竜の子を宿したその夜の寒々とした暗闇に繋がっていく光なのであった。 千代にも別れた夫がいた。そしてその夫とのあいだに男の子をもうけていた。当時一歳だった子供は夫のほうに引き取られたが、子を捨てても別れたいと言いだしたのは千代の......
単語の意味
暗闇(くらやみ)
千代・千世(ちよ)
千代・千世・・・千年。非常に長い年月のたとえ。千歳(ちとせ・せんざい)。「代」も「世」も「ある期間」を意味する字。
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断ちがたい執着となって葉子の胸の底にこびりついていた。
有島武郎 / 或る女
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電球は全部切れたままで、学生寮の隅々にまで夜がなだれ込んでいた。掌のべとべとも汚れたスリッパも気にせず、夜を押しやりながら寮の中を走った。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
闇はふかく、濃かった。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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痙攣を起こして崩折れていく瞬間の父の顔が、胸の奥に刻み込まれていた。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
ついさっきまで洗いながら考えていたことが、シャボンの泡が音もなく割れたみたいに、どうしても思い出せなくなる。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
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