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地上は草のあわいまでも紫の影に満ち、 陽 の熱の名残と、土と、水蒸気とから生れる、甘ずっぱい匂いがあたりに漂っていた。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:14% 作品を確認(amazon)
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夕方
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前後の文章を含んだ引用
......士は何かいいつのろうとしたが、喉を鳴らしただけで草の中へ倒れた。五 紫 日は暮れて来た。空は夕焼して赤い色が天頂を越え、東の方中央山脈の群峰を雑色に染めていた。地上は草のあわいまでも紫の影に満ち、陽の熱の名残と、土と、水蒸気とから生れる、甘ずっぱい匂いがあたりに漂っていた。遥か川向うの丘の上には、芋虫が立ち上ったような巻雲が夥しく並んで、これも真紅に染っていた。 見渡す野には野火はいつか衰え、薄い煙が湯気のように、一面に騰っている......
単語の意味
間(あわい)
土(つち)
紫(むらさき)
間・・・あいだ。間隔。
土・・・岩石と有機物が混じって細かい粉末状になったもの。有機物は、生物の死骸およびその腐敗物、微生物などから構成されている。砂(有機物が含まれない)とは違い、植物が育ちやすい。
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午後はようやく終り、夕暮の光と溶けあい、坂路の左にある大きな赤い寺の屋根がキラキラと輝いた。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
とっぷりと暮れてゆく濃紺の夕方、薄暗い街灯の明かりと、その向こうに重なるように見えていた黄色い半月に気を取られて足を踏みはずした。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
西に傾いた陽が裏山の頂に触れそうな時刻で、地上には、初夏といってもまだまだうすら寒い北国の夕風が流れはじめていた。
三浦哲郎 / ユタとふしぎな仲間たち amazon
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人々の往来を見よう。今夜は無人だった町の生き返る繰り返しのありさまを。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
夕陽が麦畑の上に赤い玉になって落ちて行く。
火野 葦平 / 麦と兵隊「土と兵隊・麦と兵隊 (新潮文庫)」に収録 amazon
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