掌の雛を握りつぶしたのである。雛はかすかな絶叫をあげて死んだ。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:58% 作品を確認(amazon)
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握る・掴む
殺す・殺害する
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前後の文章を含んだ引用
......て、こんどは腹を蹴った。力では到底かなわない相手であった。 二、三歩あとずさりした喜一は、鼻血のしたたる顔を歪めながら、兄弟の前に腕をにゅっと突き出した。そして掌の雛を握りつぶしたのである。雛はかすかな絶叫をあげて死んだ。「……こいつ」 茫然と突っ立っている兄弟の坊主頭めがけて、喜一は雛を投げつけた。まともに雛の死骸を頭に受けた兄のほうが、わっと悲鳴をあげて川下に逃げていき、一呼......
単語の意味
手の平・掌(てのひら)
手の平・掌・・・手首から先の、物を握ったときに内側になる面。掌(たなごころ)。
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握る・掴むの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
小鳥でも絞め殺すように、私は危うくその封筒を握りつぶすところだった。
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
彼女の袂を挘(むし)るように掴むと
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
私の肩に掴 った。その掴り方は、彼女の指先が私の肩の肉に食い込んで痛いくらいだった。
岡本かの子 / 河明り
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殺す・殺害するの表現・描写・類語(生と死のカテゴリ)の一覧 ランダム5
「あの男は土に埋めた」
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
岡本かの子 / 金魚撩乱
(両手を組む)両手を組んで、 揉みしだくようにその感触を確かめた。指の肉を介して、骨同士を 軋ませるように強く絡ませた。痛みの内に、肉体の本音を聞き取ろうとし、一体感を確かめようとした。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
「生と死」カテゴリからランダム5
有島武郎 / 或る女
(死刑制度。不幸な生い立ちが原因で罪を犯した死刑囚に対して)国家が、その法秩序からの逸脱を理由に、彼を死刑によって排除し、 宛ら に、現実があるべき姿をしているかのように取り澄ます態度を、城戸は間違っていると思っていた。立法と行政の失敗を、司法が、逸脱者の存在自体を なかったこと にすることで帳消しにする、というのは、欺瞞以外の何ものでもなかった。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
少年の時間は永遠に停止してしまった
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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