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(暑い深夜の歌舞伎町)人々は風の動かぬ華やかな夜の中を、熱帯魚のように群れなしていた。
浅田次郎 / 角筈にて「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 ページ位置:11% 作品を確認(amazon)
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歓楽街・盛り場
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......いただけで、夫婦の諍いは何ひとつ起こらなかった。せめて愚痴のひとつも聞いてやりたいと思うのだが。 深夜だというのに、歌舞伎町と東口とを往還する人の波は絶えない。人々は風の動かぬ華やかな夜の中を、熱帯魚のように群れなしていた。 酔った瞳にネオンが爆ぜた。 湿ったメガネの中に赤や青や黄色がにじんで、とっさに踏みこたえたとき、貫井は靖国通りの向こう岸にふしぎなものを見た。「おとうさん……......
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