（その冷し中華が口に合ったのは）麺の黄色と鳴戸の桃色ときゅうりの緑が、まるで三原色の見本みたいに見えなかったせいもあった。三原色ふうの甘たるさもなかった。

〝冷やし中華始めました〟の張り紙は、軒先をかすめるツバメや、庭先に咲き始めるアジサイなどと共に、夏の到来を告げる風物詩となっている。

大抵のそうめんは味のみならず歯ごたえもあまりしなくて舌でも潰せる気がするのに対して、ここのそうめんは実にしゃっきりしている

どろっとした濃厚なままの卵をうどんに絡ませて食べる。油揚げをかじり、うどんをすすり、また油揚げをかじるというひと時を過ごした後、再びツユをすすろうとすると、また生卵がにょろにょろと懐かしそうに押し寄せてくる

トロトロしたフカヒレスープの中にピョロンピョロンとしたフカヒレとコシのある麺が入っていてとてもうまい

米を米粒のまま炊いて炒めたのがチャーハン。米を粉にし、麺にして油で炒めたのが焼きビーフン。だから焼きビーフンが旨くないわけがない。

つゆへ、どっぷりと蕎麦をつけこんでしまっては、とてもとても、 「食べられたものではない」 　のである。 　あの濃いつゆへ、蕎麦の先をつけてすすりこめば、蕎麦の香りが生きて、つゆの味にとけ合い、うまく食べられる