瓶子を摑む。持ち上げる時に、かすかな抵抗と、ベリ、という乾いた音がする。苔が根を張っていたのだ。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 ページ位置:55% 作品を確認(amazon)
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苔(コケ)
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......瓶子が二つ、並んでいた。「俺たちが、運んできた酒だ……」 俺はその表面にそっと手を触れる。いつの間にかもう、寒くはなかった。「こっちが妹で」 形を確かめ、左側の瓶子を摑む。持ち上げる時に、かすかな抵抗と、ベリ、という乾いた音がする。苔が根を張っていたのだ。「こっちが、俺が持ってきたもの」 俺はその場に座り込み、目に近づけて、ライトで照らす。ぴかぴかだったはずの陶器の表面が、びっしりと苔で覆われている。ずいぶん時間......
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苔(コケ)の表現・描写・類語(植物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
青苔が、庭石にも樹立ちにも、染めつけたようにベッタリ生えて
獅子 文六 / 胡椒息子「胡椒息子 (1953年) (角川文庫〈第668〉)」に収録 amazon
(ゼニゴケ)テラテラと青光りて、鱗のように重なりひしめき
尾崎 一雄 / まぼろしの記 amazon
古い苔が微妙な模様を作り出す
日野 啓三 / 抱擁 amazon
かすかに苔のにおいのするじめじめとした空気の澱(よど)み
三田 誠広 / 僕って何 amazon
八つ手の樹の根本にうすく苔が繁茂し、蒼い毛氈(もうせん)のように光っている
高橋 和巳 / 捨子物語 amazon
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「植物」カテゴリからランダム5
胡桃がカスタネットのような冴えた音を立ててぶつかる
向田 邦子 / 思い出トランプ amazon
白い花が浮刻(うきぼり)のように咲いている
白柳 秀湖 / 駅夫日記 amazon
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