日本語表現インフォ > 比喩表現の一覧 > の比喩 > スポーツの比喩表現
スポーツの比喩を使った文章の一覧(44件)
ゲレンデで鴨のようによちよち滑る
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
強い日光がゲレンデを銀盤のように光らせ、蟻のように動いているスキーヤーの群れを浮き上がらせる
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
釣り糸を垂れている人の姿が置物のように動かない
三浦 綾子 / 続 氷点 amazon
真っ青な空に、おとぎ話の花のように落下傘があやしく美しく揺れる
長崎 源之助 / ゲンのいた谷 amazon
霧の中に、スキーヤーが影のように薄黒く泛(うか)ぶ
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
ゴルフのスイングが、孔雀の羽根毛を日差しの中で心地よさそうに振り仰いだように見える
高橋 三千綱 / 涙 amazon
岩に対して恨みでもあるような剣幕でハーケンを打つ
新田 次郎 / 縦走路 amazon
見ず知らずの川や湖へ入って釣れたときの感動は、旅先の思いがけない恋に似て感動が大きい
開高 健 / 地球はグラスのふちを回る amazon
夕暮れの闇はずいぶん深くなっていた。柴の上に散らばった白いゴルフ・ボールは籠いっぱいの関節の骨を撒き散らしたみたいに見えた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
音が、白い線をひいてとんでいく。
丹羽 文雄 / 顔 amazon
ぶんぶんうなりながらゆーらゆーらと尻をふって大空の海を泳ぐようにみえる
中 勘助 / 銀の匙 amazon
足の甲がボールの表面に触れる。ぎゅっ、と手でつかむような感覚がある。足を振りぬくと、その軌道に合わせて、ボールが飛ぶ。足はとっくにボールから離れているにもかかわらず、飛んでいくボールは、自分の身体の一部に感じられた。緩やかな放物線は、僕の身体から発射された矢のようだ。それが、相手の足元にぴたっと、まるで接着するかのように受け止められる。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
ピンが弾き飛ぶ音が心地良く、自分の身体の中がその音で掃除でもされるかのようだった
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
レーンの右寄りの場所から転がり出したボールは、ガーターの溝と平行に、綱渡りを楽しむかのように、まっすぐ転がった。床を走るボールは、ほどなく、急に肩の力を抜くように、方向を変え、左へと曲がった。 いったん、回転を止めるような素振りを見せると、直線方向へ、つまり、ピンの正面へと、向かった。まるで、そこへのレールが敷かれていたかのように、ボールは一番ピンと二番ピンの間に、吸い込まれる。 弾いた。ボールはピンを飛ばし、自ら弾けた。叫喚するような音が、レーンの先から響いた。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
沈みかけの夕日が、僕たちの背後から、(ボクシング)ジムのガラスに射し込んだのだ。赤々とした陽射しの中で、男たちが各々のリズムで身体を揺すっている光景は、淡い霧の立ち込める森の奥で、肉食の野生動物が獲物を狩るのを眺めるのに似た、水際立った美しさを伴っていた。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
西嶋はレーンと向かい合い、ボールを構えたまま、動かなかった。狙いを定めているのか、コースをイメージしているのか、黙って、「ボウリングを発明した人の彫像」さながらにボールを構えた恰好で固まったままだった。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
下半身の浮いている欧米人に柔道の捨身業を掛けることは丸太棒を倒すほどに易かった。
富田 常雄 / 姿三四郎 地の巻 amazon
矢音のぶうんという音さえ、蜜蜂の羽音のようにものうい。
福永 武彦 / 草の花 amazon
山のはるか向こうに繭のような気球の上っているのが見える。
火野 葦平 / 麦と兵隊 amazon
一台の飛行機から、ぱっぱっと白い煙の玉を吐くように幾つも落下傘が飛び出した。
火野 葦平 / 麦と兵隊 amazon
真青の絨毯の上に落した貝殻のように白く浮かび、次第に落ちて来る。
火野 葦平 / 麦と兵隊 amazon
汚れた煮〆(にしめ)のような革のふっとぼおる
林 芙美子 / 市立女学校「林芙美子作品集〈第2巻〉清貧の書 (1956年)」に収録 amazon
身体はふわりと宙に浮き、古着の塊のようにぼさっと泥のなかへまた投げ出された。
伊藤 整 / 馬喰の果て (1954年) amazon
矢が的板に当るたびに、畳を叩くような音が出るのであった。
上林 暁 / 野「上林暁全集〈第3巻〉小説(3)」に収録 amazon
浮(うき)がなくって釣りをするのは寒暖計なしで熱度をはかるようなものだ。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
釣している人の影は造った像のように動かずじっとしている。
永井 荷風 / ふらんす物語 amazon
釣師はいずれも木像のように黙っている
永井 荷風 / すみだ川「すみだ川・新橋夜話 他一篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
風に揺られる。さっきまで頰に心地好かったその風が、悪魔の使いのように感じられる。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
リフティングを見せてもらった。サッカーボールが、生きもののように肩や足の先で跳ねていた。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
ムッと黙りこんだままくすんだ色の水面に釣糸を垂らしている。糸はまるで水面につきささった銀の針のようにピクリとも動かなかった。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
鉄アレイのような形をしたバンカー
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
ロングホールで障害物も坂もない。小学校の廊下みたいなフェアウェイがまっすぐに続いている
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
スイッチを入れると、地の底から湧き上がるような低い唸りが一斉にあたりを被った。背筋が冷たくなるような音だ。そして次に、何万という鳥の群れが翼を広げるようなパタパタパタという音が続いた。@略@七十八台のピンボール・マシーンが電気を吸い込み、そしてそのスコアボードに何千個というゼロを叩き出す音だった。音が収まると、あとには蜂の群れのようなブーンという鈍い電気音だけが残った。そして倉庫は七十八台のピンボール・マシーンの束の間の生に満ちた。一台一台がフィールドに様々な原色の光を点滅させ、ボードに精いっぱいのそれぞれの夢を描き出していた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
集団が近づくにつれ声援は大きくなり、マサルと同じく一人で来たような人達までが突如として沈黙を破り、感染したウィルスが急発しだしたかの如く一人一人が大声を出し始めた。
羽田 圭介 / 一丁目一番地「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 amazon
キューにチョークをこすりつける際の小動物の悲鳴に似た軋み音
宮本輝 / 道頓堀川 amazon
テニス・コオトからは三鞭酒(シャンパン)を抜くようなラケットの音が愉快そうに聞こえてくる
堀辰雄 / ルウベンスの偽画 amazon
比喩表現のカテゴリ