大きな窓から陽がいっぱい入って、テーブルのうえもまぶしい。

窓枠に躍る光

掃除の行きとどいた朝の郵便局の光線は、海の底のように静かで、平和であった。

磨りガラスのドアがあり、月明かりを浴びてガラスに埋め込まれた格子状の鉄線が浮かび上がっている。

時刻は昼らしく、天井の明かりからまっすぐに日が差し込んでいた。光は何本かの太い柱となって床から直立し、その中で細かな塵が舞っているのが見えた。その光の柱は刃物で切り取られたようにくっきりと鋭角的で、南国の太陽の激しさを部屋の中に送り込んでいた。光のない部分は暗く冷やかだった。そのさまあまりにも対照的だった。まるで海底にいるみたいだな、と僕は思った。

スイッチに手をのばす。わたし一人分にしては充分すぎる程の明るさが広がる。

駅に到着し、新幹線がぐっと呼吸を止めるような間があり、その後で、ぷしゅうと扉が開いた。

畳の目も、傷んだところは 藺草 が切腹して、なかから、キビガラの 芯 みたいなのがはみ出していた。畳の目ひとつひとつが小さなクッションになっている。

絹行灯（きぬあんどん）の光の裡（うち）に、美しい調度が春の夜にふさわしい艶（つや）めいた静けさを保つ

診察室をのぞくことができた。先生も看護婦もいなかった。そこは放課後の理科室のように薄暗かった。

ひとりのときに部屋を貫くように差し込んでくる太陽は嫌いだ。ひとりのあたしに、あたしはひとりだとまんまと思わせるからだ。窓から外を見たりなんかすると、アスファルトでさえ宝石でも紛れ込ませているかのようにきらきらしているように見える。太陽は、ひとりの自分を嫌いになるようにしむけてくる。

台所と居間は私ひとりになった。陽があたって光に満ち、まるで真昼の海辺のように乾いていた。 　

何もかもが影もなく煌く

気がつくと雨があがり、稲妻が遠い 山脈やまなみ をおおう雲の中で鈍い光となって息をついた。

縁側に腰をかけて日向（ひなた）ぼっこをしていると、黒い土の上から、モヤモヤとかげろうがのぼっている。