(失恋を乗り越える)自分もまた、野呂を烈しく愛したという事実を思い出すことをやめてはいない。 野呂以外の男を愛する時が訪れて初めて、野呂との記憶を箱の中に納め、繰り返し覗き見ることをしなくて済むようになるのだろう。それは半年後のことなのかもしれない。三か月後かもしれない。いや、明日かもしれないし、永遠にそんな時は訪れてくれないのかもしれない。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:99% 作品を確認(amazon)
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失恋・恋人と別れる
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前後の文章を含んだ引用
......けど、この世の中にはそうじゃない人もいるのよ、と。 わたしは今も野呂を思い返している。野呂から受けた愛撫や愛の言葉の数々、野呂がわたしを愛してくれたという事実、自分もまた、野呂を烈しく愛したという事実を思い出すことをやめてはいない。 野呂以外の男を愛する時が訪れて初めて、野呂との記憶を箱の中に納め、繰り返し覗き見ることをしなくて済むようになるのだろう。それは半年後のことなのかもしれない。三か月後かもしれない。いや、明日かもしれないし、永遠にそんな時は訪れてくれないのかもしれない。 愛するということは、やみくもに対象に溺れることではない。むしろ、その逆であるということを、わたしは知ったような気がする。息もできないほど溺れながら、見ている。......
単語の意味
永遠(えいえん・とわ)
永遠・・・ある状態が果てしなく続くこと。物事が変化しないこと。無窮(むきゅう)。永久(えいきゅう)。
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