直立した 花梗 の上に、固く身をすぼめた花冠が、音楽のように、ゆるやかに開こうとしていた。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 ページ位置:70% 作品を確認(amazon)
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花
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前後の文章を含んだ引用
......の縁に蔭を選んで坐った。日向の草の葉は一面に干いていたが、根は谷一面に拡がって、音もなく流れる水に、洗われているらしかった。 草の間から一本の花が身をもたげた。直立した花梗の上に、固く身をすぼめた花冠が、音楽のように、ゆるやかに開こうとしていた。その名も知らぬ熱帯の花は芍薬に似て、淡紅色の花弁の畳まれた奥は、色褪せ湿っていた。匂いはなかった。「あたし、食べてもいいわよ」 と突然その花がいった。私は飢えを......
単語の意味
花冠(かかん)
花冠・・・花びらが集まったもの。一つの花の花びら全てのこと。
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(マユミ)小さな赤い実を無数にぶらさげている。優しい炎だ。遠くから見る街の灯のようだ。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
綿毛のような猫柳の花
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
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(枯れた梢は)どこか、我々が通常樹木に感じる美感の 根柢 をなす、あの自然さを欠いていた。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
花片はことごとく紙片のようによれよれになって
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
亭々とした華奢 な幹の先の思いがけない葉の繁 みを、女の額の截 り前髪のように振り捌 いて、
岡本かの子 / 河明り
赤や黄の数珠玉(じゅずだま)みてえな実
森 敦 / 初真桑「月山・鳥海山 (文春文庫 も 2-1)」に収録 amazon
風のない茂みがじっと闇を抱いてこもる
日野 啓三 / 抱擁 amazon
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