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海の上はただ狂い暴 れる風と雪と波ばかりだ。縦横に吹きまく風が、思いのままに海をひっぱたくので、つるし上げられるように高まった三角波が互いに競って取っ組み合うと、取っ組み合っただけの波はたちまちまっ白な泡 の山に変じて、その巓 が風にちぎられながら、すさまじい勢いで目あてもなく倒れかかる。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:40% 作品を確認(青空文庫)
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時化・海が荒れる、波立つ
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前後の文章を含んだ引用
......船頭はやむなく配縄を切って捨てさせなければならなくなった。 「またはあ銭 こ海さ捨てるだ」 と君の父上は心から嘆息してつぶやきながら君に命じて配縄 を切ってしまった。 海の上はただ狂い暴 れる風と雪と波ばかりだ。縦横に吹きまく風が、思いのままに海をひっぱたくので、つるし上げられるように高まった三角波が互いに競って取っ組み合うと、取っ組み合っただけの波はたちまちまっ白な泡 の山に変じて、その巓 が風にちぎられながら、すさまじい勢いで目あてもなく倒れかかる。目も向けられないような濃い雪の群れは、波を追ったり波からのがれたり、さながら風の怒りをいどむ小悪魔のように、面憎 く舞いながら右往左往に飛びはねる。吹き落として来......
単語の意味
ちまちま
三角波(さんかくなみ)
ちまちま・・・小さくまとまっているさま。一つ一つが小さいながら、まとまっている印象を受けさま。ちんまり。
三角波・・・進む方向がの違う二つ以上の波がぶつかってできる、三角形の高い波。台風の中心の海などで発生する。
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時化・海が荒れる、波立つの表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
暗い冬の海の咆哮
宮本百合子 / 伸子
黒い波の峰と波の谷とがかわるがわる目の前に現われる
有島武郎 / 或る女
海はまだ大うねりにうねり返っていた。
小林多喜二 / 蟹工船
羊水のような海が暗く騒ぐ気配を見せる
倉橋 由美子 / 倉橋由美子の怪奇掌篇 amazon
海は気むずかしく荒れて
林芙美子 / 新版 放浪記
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鉛色によどんだ小さな渦巻が幾つか海のあなたに一ツ一ツ消えて行って
林芙美子 / 新版 放浪記
アルプスの氷山のようにモリモリとむくれ上ってくる波
小林多喜二 / 蟹工船
「天災・荒れた天気」カテゴリからランダム5
みしみしと細かく家のきしむ音がしたかと思うと、部屋が揺れ始めた。
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
家が時化にあった漁船の帆柱みたいに揺れる
里見 トン / 極楽とんぼ―他一篇 amazon
烈しい嵐が襲ってきた。船の主帆がくだかれて烈しい音をたてて甲板にぶつかった。《…略…》嵐のあとはふたたび風が 凪いだ。マストの帆は力なく垂れ、ただ真黒な影だけが甲板に死んだように倒れている病人たちの顔や体の上に落ちている。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
空に星明かりも見えない荒れ模様の夜
芥川龍之介 / 河童
波の背 に乗って四十五度くらいの角度に船首を下に向けながら、帆をいっぱいに開いて、矢よりも早く走って行く一艘 の船!
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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