一陣の風が吹いて、高い銀杏の枝々に夥しい金色の光が一瞬咲き、それが無数のきらめきとなって、二人にふりしきった

（間もなく木から落ちるいちょうの実同士の会話）ぼくはきっと黄金色（きんいろ）のお星（ほし）さまになるんだよ。」 「ぼくもなるよ。きっとここから落（お）ちればすぐ北風（きたかぜ）が空（そら）へつれてってくれるだろうね。」

寺内の銀杏（いちょう）や橡（とち）が一晩の中に葉を落したので、庭は黄金（きん）を敷いたように明るい。

メインストリートが真直ぐにのびていて、両側は銀杏並木の黄色でいっぱいだった。風が吹くといっせいに木々が揺れて、葉っぱがぱらぱらと斜めに落ちていった。空の青さの中で、一枚一枚の黄色の輪郭がくっきりと浮かび上がった。その黄色は、地面に落ちてくるまでの間に陽を浴びて何度も光った。

（イチョウの）落葉が陽を喪（うしな）った路の上を明るくしている。彼はそれらの落葉にほのかな愛着を覚えた。

池や湖の夕暮れどき、金色の光と葦の影が交錯する

草むらが次々と穂先をひるがえして波を送る

えんじ色のチューリップが一列咲いていた。蜜蜂が一匹、コップ型の花びらの中を見え隠れしていた。

青い小さな栗のイガがぼんぼんのように垂れ下がる

電柱のような木の幹