邦彦は、まち子のことばかり考えた。道頓堀という満艦飾の船を、並んで見つめていた着物姿の女は、いまかぐわしい 匂いを放ちながら、邦彦の心にまといついてきて離れようとしなかった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 ページ位置:61% 作品を確認(amazon)
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恋に落ちる
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前後の文章を含んだ引用
......み明かそうと言っていたはずなのに、最初に寝息をたて始めたのはかおるだった。政夫もウィスキーの壜とグラスを店の棚に返してくると、蒲団にくるまって寝入ってしまった。邦彦は、まち子のことばかり考えた。道頓堀という満艦飾の船を、並んで見つめていた着物姿の女は、いまかぐわしい匂いを放ちながら、邦彦の心にまといついてきて離れようとしなかった。六 十二月に入った。師走の風に叩かれた道頓堀川の水面が、小さくさざめいていた。邦彦はふたつの会社の就職試験を受けたが、どちらも書類選考の段階で落とされてしまった......
単語の意味
芳しい・馨しい・香しい(かんばしい・かぐわしい)
芳しい・馨しい・香しい・・・1.いい匂いがする。ウットリするような匂いがする。花が発するような匂いが、どこからともなく漂ってくる。
2.客観的に見て、いい評価が認められるさま。すばらしい。好ましい。
2.客観的に見て、いい評価が認められるさま。すばらしい。好ましい。
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恋に落ちるの表現・描写・類語(好きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼女の顔に面と向ったとき、日没前の風景の中で、くっきり浮かび出た山頂の線や地平線のきらめきが、一瞬光度をたかめ静けさにみちた空気の中に消えんとする最後の異常に強い光を放つときのような、美のエネルギーが彼女の顔から彼の方をめがけて、放出されるのを感ずるのであった。
野間 宏 / 顔の中の赤い月「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
おまえみたいな真面目な男はだ、生きているだけで毎日毎日必死だから、ちょっと若い女を見ると感動してしまうんだよ。炭坑から出てきたばかりの男が日の光にうっとりするようなものだ
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
重竜に対して抱いていた 朦朧 とした気持は、その瞬間、恋情というはっきりした形となって千代の中で固まっていった
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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「心」の言葉を含む好きの表現・描写・類語(好きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
象という動物には何かしら僕の心をそそるものがあるんだ。
村上春樹 / 象の消滅「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
己の袈裟に対する愛なるものも、実はこの欲望を美しくした、感傷的な心もちに過ぎなかった。
芥川龍之介 / 袈裟と盛遠
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「好き」カテゴリからランダム5
新芽の匂うような本能的なざわめき
佐多 稲子 / 素足の娘 amazon
神のごとく敬 い
夏目漱石 / 吾輩は猫である
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