下手クソな歌手が、まるでガラスを爪で引っ掻くような声を上げている。
吉田修一「悪人」に収録 ページ位置：56% 作品を確認（amazon）
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歌声・歌う
高音・高い音
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......、佳乃はまだ自分が何を言われたのか分かっていないようだった。 峠の旧道に停めた車の中で、馬鹿みたいな流行歌が流れていた。あなたの愛が私を強くしてくれるのだと歌う下手クソな歌手が、まるでガラスを爪で引っ掻くような声を上げている。「降りてくれんや」と増尾はもう一度言った。抑揚もつけず、眉一つ動かさなかった。「え？」 佳乃は暗い車内で目を見開いた。これが出てくるときに増尾が言った「肝試し」......
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頭のてっぺんからつん出るような声を絞って歌う
室生 犀星 / 室生犀星作品集〈第9巻〉汽車で逢った女,餓人伝 amazon
満ちてくる潮のように、まるいは引いていく潮のように一心に歌う
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