高速道路の高架が見え、車の騒音が空から降ってくるように聞こえた。

高架下を、 轟音 を反響させながらダンプカーが走り去ってゆく。

標高が上がって、耳がツンとした。

這うように斜面を登る

堤が一髪を横たえたように見える。

揺れは最高潮に達した。ドーンと重く山が鳴り、鳥が姿を見せないままけたたましく囀った。斜面の木が激しく梢を揺らし、杉の花粉が豪雪地帯もかくやとばかりにいっせいに降り注ぐ。 　ふ、腐海！ 　俺は思わず、ナウシカを連想した。「午後の胞子を飛ばしている……」ってやつだ。こんな幻想的な光景に、まさか現実でお目にかかれるとは思ってなかった。 　音が消えた。黄金色に輝く小さな粒が、視界を舞って地面に降り積む。

（夜）巨大な眼窩そのものとも言える、深々とした杉林（が目の前にある）