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大幅な両岸は遠く水平線に退いて、照りつける陽の下に林影だけ一抹の金の塗粉のようになって見えた。それが水天一枚の瑠璃色 の面でしばしば断ち切れて、だんだん淡く、蜃気楼 の島のように中空に映り霞 んで行く。
岡本かの子 / 河明り ページ位置:76% 作品を確認(青空文庫)
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川
遠くに見える・遠ざかる
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前後の文章を含んだ引用
......ますよ」見送りの事務員の労 った声が桟橋から響いた。娘はポケットを押えてみて、窓からお叩頭 をした。 怠惰なエンジンの音が聞えて、機船は河心へ出た。河と云いながら、大幅な両岸は遠く水平線に退いて、照りつける陽の下に林影だけ一抹の金の塗粉のようになって見えた。それが水天一枚の瑠璃色 の面でしばしば断ち切れて、だんだん淡く、蜃気楼 の島のように中空に映り霞 んで行く。たゆげな翼を伸した鳥が、水に落ちようとしてたゆたっている。 昼前に新嘉坡 の郊外のカトン岬の小さな桟橋についた。娘の待つ男の船は、今夜か明朝、新港に着く予定であっ......
単語の意味
瑠璃色(るりいろ)
中空(ちゅうくう)
水天(すいてん)
瑠璃色・・・宝石の瑠璃のような色。少し紫の入った青。
中空・・・1.何も遮(さえぎ)るもののない、空の中ほど。なかぞら。中天。
2.物の内部が空っぽになっていること。うつろ。
2.物の内部が空っぽになっていること。うつろ。
水天・・・1.水と空。海と空。
2.水にうつる天。
2.水にうつる天。
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水面は波もなく、まるで眠っているように静か
山本 周五郎 / 青べか物語 amazon
青く澄んだ川の水は油のように流れて
島崎 藤村 / 千曲川のスケッチ amazon
岡本かの子 / 河明り
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その終わりは、くらくらするくらい遠くに見えた。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
皆、指を揃へた程に、小さく見えた。
芥川龍之介 / 芋粥
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白波がかすかな潮の香と音とをたてて、その足もとに行っては消え、行っては消えする
有島武郎 / 生まれいずる悩み
先には川の曲がるところがあって、そこはいつも渦が巻いている所だ。川はそこを曲がって深い沼のような所へ入る。
梶井基次郎 / 城のある町にて
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(ついてくる)体中の汚れた息を吐き出しながら、まるで尾を振る犬みたいな女
林芙美子 / 新版 放浪記
遠くの空の雁のように、見るみるすげなく遠ざかって行く
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