襖をたてると昼間でも黄昏のように暗い部屋だった。

司祭の閉じこめられた囲いの中には突き破ることのできぬ真黒な闇が溜っている

仄ほの 白じろい光が対岸から 拡がっていたが、それはほとんど川面で 弾け散って、舟の中ではときおり小さな光のかけらが 瞬くだけであった。

高い天井の真ん中に小さな明かり取りの窓のようなものが幾つか見えた。しかし月はまだ高く上がっていなかったので、明かりと呼べそうなものはそこから入ってこなかった。仄かな街灯の明かりが屈折に屈折を重ねた末にほんの少しだけその天窓から忍びこんでいたが、殆ど何の助けにもならなかった。《…略…》やがて何かの加減で、部屋にさしこむ光がほんの少しだけ明るさを増した。月が上がってきたのだろうか？あるいは街の光が明るく灯り始めたのだろうか？

闇の中で部屋に引きっぱなした布団や食卓が白く浮んでいる。

前灯に照らし出される光の道をじっと見つめていると、何だか見知らぬ物語の世界に走りこんで行くような気分になる。

急な眩しさで、頭を思いきり殴られたみたいに目の前が真っ白になり何も見えなくなる

狭い石段を昇ると、まっすぐに夕陽が目を刺した。 　ずいぶん長い間暗闇にいたのか、瀧くんの目にはひりひりと涙が滲む。

白いものならこの闇に埋もれずに分かるはずだ

燃え上がり燃えかすれるその光は、幾百人の漁夫たちの命を勝手に支配する運命の手だ。

ガラス越しの日差しをもろに受ける

南向きの掃き出し窓からの採光

（暗い部屋では外の灯りを透かしていたが）天井灯を灯したために不透明になった白いカーテンに、今は縁の茶色い、子供のおねしょみたいな見慣れた染みが浮かんでいる。

広いつるつるした廊下を、よくすべりっこしたわ、まるで鏡みたいだったの。

この界隈では一流とはいえないが、それだけ肩が張らなくて落ちつく