捜査記録を手にしたまま、ふいに我に返った。 記述内容が少しも頭に入ってこない。無意識のうちに、またしても駿河日報の記事のことを考えてしまっていたのだ。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 ページ位置:61% 作品を確認(amazon)
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上の空・心ここにあらず
気が散る・集中できない
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......が目を大きくした。「これまでの捜査は、誘拐殺人にこだわり過ぎていたのかもしれんぞ」 小此木は、汗ばんだ拳を握り締めた。 6 重藤は、尾畑守誘拐事件の捜査記録を手にしたまま、ふいに我に返った。 記述内容が少しも頭に入ってこない。無意識のうちに、またしても駿河日報の記事のことを考えてしまっていたのだ。その記事は、今日の夕刊に載ったこんな見出しから始まっていた。《十四年前の尾畑守くん誘拐殺人事件について有力容疑者浮上か》 その見出しを目にしたとき、重藤は息を吞......
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上の空・心ここにあらずの表現・描写・類語(その他の気分のカテゴリ)の一覧 ランダム5
まわりの形色も物音もぼっとなって夢の中を歩いているよう
岡本かの子 / 巴里祭
カーステレオの歌が耳を素通りしてゆく。いつもならカセットを何度も取り替えているはずなのに、一度も取り替えないまま、気がつけば車は相模川を渡ろうとしていた。
乾 くるみ / イニシエーション・ラブ amazon
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気が散る・集中できないの表現・描写・類語(心が乱れるのカテゴリ)の一覧 ランダム5
本のページを開いたが、十分試みてからあきらめて本をポケットに戻した。頭には何も入らなかった。僕の頭の中には十二滝町の羊たちがいて、僕がそこに送り込む活字をかたかたと音を立てながらかたっぱしから食べていった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
へいぜい自分の使っている茶碗 でしきりに茶を飲む折田を見ると、そのたび彼は心が話からそれる。
梶井基次郎 / 冬の日
羊の群れにはまりこんだ狼のように目うつりする
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
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「心が乱れる」カテゴリからランダム5
彼の分別のあった心は、闘牛者の槍を受けた牡牛のように荒んでしまった。
菊池 寛 / 恩讐の彼方に amazon
「退屈」カテゴリからランダム5
蒼ざめた紙のごとく退屈無限の映画
坂口 安吾 / 白痴 amazon
「その他の気分」カテゴリからランダム5
水野さんはどちらかというと控えめな女性で、存在そのものが静かだった。空気清浄機のような人だと思う。植物のようとも言える。 いるだけでまわりは落ち着くし、どこまでもマイペースなのに人のことをちゃんと見て気遣っているから、あれこれ気を遣わなくていい。
よしもとばなな / 銀の月の下で「まぼろしハワイ」に収録 amazon
みぞおちの奥のあたりにぽっかりと空洞が生じてしまったような気分だった。出口も入口もない、純粋な空洞である。その奇妙な体内の欠落感──不在が実在するという感覚──は高い尖塔のてっぺんに上ったときに感じる恐怖のしびれにどこかしら似ているような気がした。空腹と高所恐怖に相通じるところがあるというのは新しい発見だった。
村上春樹 / パン屋再襲撃「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
林芙美子 / 新版 放浪記
やさしく撫でるように慰めてくれる
室生 犀星 / 幼年時代 amazon
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