(病院は古めかしい木造の建物で)病院特有の強い消毒液の匂いはなく、そのかわり汗と果実のまじりあったような臭気に満ちていた。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:21% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
病院
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......返した。作業員たちの笑い声が、また烈しく降りだした雪の中に消えていった。 病院は古めかしい木造の建物で、重竜のいる病棟は陽当たりが悪く昼間でも電灯がついている。病院特有の強い消毒液の匂いはなく、そのかわり汗と果実のまじりあったような臭気に満ちていた。「血糊の匂いよ」 重竜は吐きすてるように言った。千代のむいた林檎のひとかけらを、いつまでも口の中で転がしていた。「なして噛んでしまわんがや?」「入れ歯が合わんよ......
単語の意味
毒液(どくえき)
毒液・・・毒の入った液体。
ここに意味を表示
病院の表現・描写・類語(店・施設のカテゴリ)の一覧 ランダム5
行き届きすぎた衛生管理が《…略…》街全体を病院のような感じに変えていた。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
このカテゴリを全部見る
「店・施設」カテゴリからランダム5
遊園地のソフトクリーム売場みたいなところ
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
ホームに入ってきた電車が、彼らとウサギを隔てた。
小川 洋子 / 盲腸線の秘密「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
観覧車は、遠くから眺めると、タンブラーの縁に掛けた輪切りのオレンジのようにも、角材に食い込んだ円盤形の電動ノコギリのようにも、見える。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
「病院」カテゴリからランダム5
病院の窓々にはうるんだ灯がともり、港にはいる満艦飾の船のように見えた
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
(チョコレート嚢胞の手術)指先でつまんで、口の中で溶かしたくなるような言葉だ。 しかし、メスの刃の下からあふれ出てきた液体は、言葉のかわいらしさとは正反対に、吐き捨てたくなるような不快な色をしている。血液が腐敗した色だ。ビニールの手袋の上にとろりと広がって、今までに溜め込んできた体温や体臭を一遍に放り出している。その傍で卵巣はすっかり萎びている。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
店・施設 の表現の一覧
病院 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ