すっかり丸くなった月が、気味わるいほど赤い色をおびて黒雲に出たりかくれたりした。老人たちは今年は良くないことが起るかもしれないと 噂 しあった。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:66% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
胸騒ぎ・嫌な予感
月
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......町方代表たちが白帷子を着て代官に伺候する。 月が次第に満月になっていった。牢舎の背後にある雑木林で山鳩と梟とが交互に同じような声で毎夜、鳴いた。その雑木林の上にすっかり丸くなった月が、気味わるいほど赤い色をおびて黒雲に出たりかくれたりした。老人たちは今年は良くないことが起るかもしれないと噂しあった。 八月十三日。長崎の町家では膾を作り、琉球芋や大豆などを煮しめる。当日は奉行所に勤める役人などから魚類や菓子の奉呈がある。奉行からも酒や吸物や団子などを役人たち......
ここに意味を表示
胸騒ぎ・嫌な予感の表現・描写・類語(恐怖・不安のカテゴリ)の一覧 ランダム5
私の目の前の生活の道にはおぼろげながら気味悪い不幸の雲がおおいかかろうとしていた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
ほとんど不穏なと言うべき胸騒ぎを覚えた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
月の表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
細い、一枚の歯のような白い月
倉橋 由美子 / 霊魂「夢の通い路 (講談社文庫)」に収録 amazon
この村の月は、まるでよく熟した夏ミカンだと、ぼくは思った。みずみずしくて、てのひらにずっしりと重たい夏ミカンのようだ
三浦哲郎 / ユタとふしぎな仲間たち amazon
このカテゴリを全部見る
「空・中空」カテゴリからランダム5
白い月が賢いみなしごのように寡黙に空に浮かんでいた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
芝居の書き割りのような乾いた空
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
月が真っ黒な空に小さく光って、沈む街並みに真珠みたいに映えていた。
吉本 ばなな / 大川端奇譚「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
「恐怖・不安」カテゴリからランダム5
見ていられないという風に、顔をそむける
小林多喜二 / 蟹工船
水を浴びたようにゾッとした。
夢野久作 / あやかしの鼓
顔が汗で蠟をぬたくったように光っている
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
空・中空 の表現の一覧
恐怖・不安 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ