黒い波が押しよせては引く暗い音が、砂のようにもの憂く響いている。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 ページ位置:94% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
波の音・潮騒
夜の海
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......る家も人間もすっかり死に果てたようだ。「なにしてんねん、お前」「なにも、してへん」 だが戸田は勝呂がそこだけ白く光っている海をじっと見詰めているのに気がついた。黒い波が押しよせては引く暗い音が、砂のようにもの憂く響いている。「明日はまた、回診か」わざと欠伸をしながら、戸田はいかにも眠そうに呟いた。「ああ、しんど。ほんまに今日はしんどかったなあ」 勝呂は煙草の火を消して、こちらをふり......
単語の意味
砂(すな)
砂・・・岩石が細かくなったもの。岩が徹底的に砕かれたもので有機物が含まれていない。そのため、土(有機物が含まれる)と違って、植物は育ちにくい。砂場や砂漠に雑草が生えにくいのもこのため。
ここに意味を表示
波の音・潮騒の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
波の響き交わしが、潮のように押し寄せる軍勢に囲まれた城の光景を思い起こさせる
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
夜気はこまやかに森 として、遠くごく遠く波の音もする。夜、波の音は何故あのように闇にこもるように響くのだろう。
宮本百合子 / 明るい海浜
沖から寄せる海嘯(かいしょう)の叫び声
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
岩を噛む波の音が嵐のように凄まじく聞こえる
円地文子 / 女坂 amazon
このカテゴリを全部見る
夜の海の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
夜の海は昼と迫力がまるっきり違う。ぼんやりと暗い浜から、波音が押してくるように巨大に響く。黒い島影が 闇 に浮かび、潮風は夜の香りを含んで吹き渡る。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
海は黒くもりあがっていて、海のおそろしいまでな情熱が私をコウフンさせてしまった。
林芙美子 / 新版 放浪記
堤防の上に立って見る浜辺はぼんやりと白い闇だった。海は真っ黒で、時折レースのふちどりがちらちら光った。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
まだ海水は冷たいですが、裸足になって、波打ちぎわを走り廻り、やってくる波の水を蹴ちらすのも何となく愉快なものです。
武者小路実篤 / 若き日の思い出 amazon
山のような五百重 の大波
有島武郎 / 生まれいずる悩み
海面は血を流した俎(まないた)のように、真赤な声を潜(ひそ)めて静まっていた。
横光 利一 / 花園の思想 amazon
「音の響き」カテゴリからランダム5
シーンと耳が沁(し)む、耳が痛むような静寂
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
雨の音と混じると、知らない人の会話までがなんだか秘密めいて聞こえる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
耳栓をつけて湖の底に座っているような静かさ
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
喫茶店から甘い、くすぐるような音楽が聞こえてくる
遠藤周作 / 海と毒薬 amazon
同じカテゴリの表現一覧
水面・水中・水辺 の表現の一覧
音の響き の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ