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(遺産相続三万円という安値にショックを受ける)「尋恵さんに三万円……」 ここに来て自分の名前が出てくるとは思わず、尋恵は一瞬、何も頭に浮かばなかった。三万円という言葉が尋恵の中に入って膨張していく。それと同時に、心の中にあった潤いのようなものが急速に乾いていくのを感じた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:21% 作品を確認(amazon)
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(心理的に)衝撃を受ける
耳に残る・音声を覚えている
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前後の文章を含んだ引用
......訊かれて、俊郎が電卓を弾いた。「三百七十万だね」 残りの二百万弱が勲にということだろう。なかなか姑も上手に振り分けたのではないか。 ところが、続きが残っていた。「尋恵さんに三万円……」 ここに来て自分の名前が出てくるとは思わず、尋恵は一瞬、何も頭に浮かばなかった。三万円という言葉が尋恵の中に入って膨張していく。それと同時に、心の中にあった潤いのようなものが急速に乾いていくのを感じた。 満喜子が尋恵に微笑みかけてくる。「俊ちゃんのお嫁さんに三万円……」 あの満喜子の笑みは何だ? よかったねという意味か。お母さんがあなたに感謝してるしるしよ。よ......
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(心理的に)衝撃を受けるの表現・描写・類語(驚きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ビデオの映像を早送りするように、光景は目まぐるしく変わっていく。最初のうちは遠くから僕を呼ぶチュウさんの声が聞こえていたが、やがてそれも間遠になって、消えた。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
神経が感電したようにじりりと震え痺 れ
岡本かの子 / 母子叙情
雪見は時間が止まったように絶句した。武内の一言は雪見の思考回路を直撃した。その衝撃波で頭が揺れる錯覚さえ感じた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
立っているのが苦しいほどの 眩暈 を覚えた。
阿刀田 高 / 来訪者「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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耳に残る・音声を覚えているの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
二十日鼠がひがな一日小さな車を廻すように、一つの言葉が頭の中で音を立てて廻っている
向田 邦子 / 思い出トランプ amazon
失踪。酒田の口から漏れたその言葉が、いつまでも奇怪な異物のように宙に浮いている。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(あ、奥さん。あたし小野香織っていいます。ご存じでしょう、名前ぐらいは。先生の赤ちゃんができたんで、産みますから) 電話の声が 甦って、ちえ子は痛みに耐えるように 瞼 を閉じた。以来、かたときも忘れることのできぬ 呪詛 の声である。
浅田次郎 / うらぼんえ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
震えて発せられたその言葉は、風に乗って入ってしまった羽虫のように、いつまでも嫌な感覚とともに耳の中に残った。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
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「心」の言葉を含む驚きの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
女は心臓がまたいやな感じに動き回るのを感じて
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
心臓はたしかに平時よりも烈しく鼓動して
夏目漱石 / 吾輩は猫である
恋にやぶれて生きた死骸になった心持ち
夢野久作 / あやかしの鼓
胸の動悸は心臓を潰さんばかりであった
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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「驚き」カテゴリからランダム5
やっぱり、あのとき、乃武夫はいたのだ。 あの声を聞かれてしまった。 塩沢は、うしろから斬りつけられたような気がした。
向田邦子 / ダウト「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
「感動」カテゴリからランダム5
身体は呆然 と石像のように立ち停り
横光利一 / 日輪
感動のあまり涙ぐんだ
宮本百合子 / 伸子
「不思議です事ねえ」と細君は帰天斎正一 の手品でも見物しているように感嘆する
夏目漱石 / 吾輩は猫である
意識はばらばらになってしまった。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
「記憶」カテゴリからランダム5
記憶はうらぶれた細胞みたいにどんどん遠ざかっていく
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
タクシーのラジオから流れてくるその音楽を耳にして、すぐに「これはヤナーチェックの『シンフォニエッタ』だ」とわかったのだろう。そしてどうしてその音楽が、私の身体に激しい個人的な揺さぶりのようなものを与えたのだろう。そう、それはとても個人的な種類の揺さぶりだった。まるで長いあいだ眠っていた潜在記憶が、何かのきっかけで思いも寄らぬ時に呼び覚まされたような、そんな感じだった。肩を掴まれて揺すられているような感触がそこにはあった。とすれば、私はこれまでの人生のどこかの地点で、その音楽と深く関わりを持ったのかもしれない。その音楽が流れてきて、スイッチが自動的にオンになって、私の中にある何かの記憶がむくむくと覚醒したのかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
二十七、八年も前で、ほとんど記憶の底に沈んでいて思い出しもしなかった
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
小さいあみ目のある原稿用紙はみるのもぞっとしてしまう。あのひとを想い出すからだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
なかなか剥がれない膏薬のように、面影が気持ちから剥がれない
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
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