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伸子は、夜の電線を伝わって、まざまざと迫って来る彼の心持を感じた。その感じは迫り迫って、二人を隔てる距離がまるでつまり、遂に、佃は、じき壁のあちら側まで来ているようにさえ思われた。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:20% 作品を確認(青空文庫)
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電話で話す
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前後の文章を含んだ引用
......言えない感情で、伸子は送話口に額を圧しつけたまま黙ってしまった。 「もしもし」 「――なあに?」 「どうなさいました?」 「…………」 向う側にも情の深い沈黙が生じた。伸子は、夜の電線を伝わって、まざまざと迫って来る彼の心持を感じた。その感じは迫り迫って、二人を隔てる距離がまるでつまり、遂に、佃は、じき壁のあちら側まで来ているようにさえ思われた。やがて、先から云った。 「そろそろ時間になるかもしれませんね。――切りましょうか」 「そう?」 「ずっと部屋ですか? よくおやすみなさい。私は予定通り明後日帰ります」......
単語の意味
隔てる(へだてる)
隔てる・・・間に何か置く。間に何か置いて交流や行き来できないようにする。時間的、空間的に間をあける。
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恋愛・恋する・恋心の表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼は完全に夢見る少年だった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
彼がいなくなってもすぐまた新しい素敵な男の人が、亜美ちゃんが歩む道にぽこりぽこりと生え出てきて、また新しい彩りを添えた。紳士服店のディスプレイ棚のなかに、色とりどりの様々な柄のネクタイが、くるくると巻かれて収納されているのと同じように、亜美の人生のなかには様々な色どりの良い男たちが収納されているのかもしれない。
綿矢 りさ / 亜美ちゃんは美人「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
こんな見た目の私にコントロールできないほどの恋愛が宿っている
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
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電話で話すの表現・描写・類語(動き・反応・変化・現象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(栄子と国際電話)うふふ、と栄子は笑った。か細い声が海を越えてやってくる。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
べつに何もない」と僕は言って椅子に座り、左手に持っていた受話器を右手に移しかえた。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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「恋愛」カテゴリからランダム5
最初から深入りする気のない、束の間の関係
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
(恋は盲目)恋に目がふさがっても
有島武郎 / 或る女
2人で恋のさなかに見たいろんなこと、なま温かい夜の感触、送ってもらう朝焼けの道で、寝ぼけた頭でタクシーから見た、あのオレンジに染まったビル街の美しさ、それから涙、熱い手のひら、そういうものの強い香りを、思い出させたかった。まるで恋の末期に、ふられそうな女がそう思うみたいに必死で。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
(恋した女を膝に乗せ時の)花弁のように軽くて、無限の重さのあったカテリイヌの体重
岡本かの子 / 巴里祭
「動き・反応・変化・現象」カテゴリからランダム5
はしから紙のように薄く切る。
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
「電話」カテゴリからランダム5
そう言うと、間を置かずにふかえりは電話を切った。会話は一瞬にして消滅した。誰かが研ぎ澄まされた鉈(なた)を振り下ろして、電話線を断ち切ったみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
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