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三原は都電に乗るのが好きだった。べつに行先を決めないで乗る。行先を決めないというのは妙だが、何か考えに行きづまったときには、ぼんやり電車にすわって思案する。緩慢な速度と適度の動揺とが思索を陶酔に引き入れる。頻繁にとまり、そのたびにがたごととぶざまに揺れて動きだす都電の座席に身をかがめる。この環境の中に自分を閉じこめ、思考のただよいにひたるのである。
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:61% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......庁前から新宿行の都電に乗った。 夜の八時をまわってラッシュアワーは過ぎていた。車内は空いている。彼はゆっくりと腰かけ、腕を組んだ。背中にこころよい動揺がある。 三原は都電に乗るのが好きだった。べつに行先を決めないで乗る。行先を決めないというのは妙だが、何か考えに行きづまったときには、ぼんやり電車にすわって思案する。緩慢な速度と適度の動揺とが思索を陶酔に引き入れる。頻繁にとまり、そのたびにがたごととぶざまに揺れて動きだす都電の座席に身をかがめる。この環境の中に自分を閉じこめ、思考のただよいにひたるのである。 三原はつかれたような目をしてそれを考えていた。乗客の話も出入りの動きも邪魔にはならなかった。 駅に呼んだのは、自分が確かに札幌駅に《まりも》で到着したことを河......
単語の意味
妙(みょう)
陶酔(とうすい)
妙・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
陶酔・・・気持ちよく酔うこと。心を奪われてうっとりと気持ちのいいこと。
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いろんな可能性が頭の中で錯綜する。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
脳味噌の中の廻転が次第に静まって、やがてヒッソリと停止した。
夢野久作 / ドグラ・マグラ
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フォークを静かに皿の上に置き、テーブルの上に浮かんだ匿名的な空間をにらみながら、自分自身について考えてみた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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(B29五百機、P51百機)戦爆連合の、しかも白昼のかかる大挙来襲ははじめてである。この百里原あたりの空も、ために密雲に覆われたようにくらくなり、「雨かな」と言ったものさえあった。
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
ダッシュボードに取り付けられたマイクを握った。拡声装置付きサイレンのスイッチに切り替える。サイレンの音色が変わり、音量が跳ね上がる。 「警察車両が通過します。警察車両が通過します。通行車両は十分にご注意ください──」 野太い声が車外に響き渡る。交差する道路に連なっていた車列が、渋々という感じで停車する。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
ぼうぼうと耳の底へいやに響く汽笛を頻りにならしながら
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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こちらの自分は月のような位置からその自分を眺めている。
梶井基次郎 / 泥濘
胃が金具で締めつけられるような激しい既視感があった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
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