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(盲目の女が奏でる暗く力強い三味線の音調)黄色い電灯の光が、三味線の音とともにじわじわ薄暗くなっていった。一滴だと透明なのに、むつみ合うと鉛色になる――盲目の女の手首の一振り一振りは、越前の海の 雫 に似て、この肌寒い部屋の空気をいっそう暗い冷たいものに変えていった。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:46% 作品を確認(amazon)
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音楽
演奏する・楽器を鳴らす
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前後の文章を含んだ引用
......づけた。幾筋もの汗を顔から首筋へと流して撥を糸に叩きつづけながら、女はかすかに唇を動かしていた。まだまだ、もっと、もっと、とつぶやいているように千代には思えた。黄色い電灯の光が、三味線の音とともにじわじわ薄暗くなっていった。一滴だと透明なのに、むつみ合うと鉛色になる――盲目の女の手首の一振り一振りは、越前の海の雫に似て、この肌寒い部屋の空気をいっそう暗い冷たいものに変えていった。「こんなに弾いたのは、戦争が終わってから始めてですちゃ」 と女は言った。重竜は額をはっきりと女に伝えながら、金を手渡した。「番頭にはあんたからはやらんでええがや......
単語の意味
睦み合う(むつみあう)
肌寒・膚寒(はださむ)
睦み合う・・・仲良くしあう。なれ親しみ合う。
肌寒・膚寒・・・秋が深まって、肌に少し寒さを感じること。秋冷え。
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爪も切ってもらったし、耳も掃除してもらったし、髪も洗ってもらったしというような洗練された音楽
村上春樹 / 遠い太鼓 amazon
二組が歌うのは「ひとつの朝」。去年の三年生も歌っていたから耳にしたことがある。緩やかに始まってだんだん力強くなっていく合唱らしい壮大な曲だ。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
俺は、「さらばピアノよ」の途中、さまざまな感情と共に駆け出すようなクレッシェンドのかかったメロディが好きだった。そこのメロディを聴いていると、今までの思い出を存分に染み込ませてずっしりと濡れた心が、やさしく絞られるような気持ちになる。
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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地面の底から聞こえてくるようないやな音
長崎 源之助 / ゲンのいた谷 amazon
電話のベルが鳴った。ベルの音が頭の中に進入してきて、緑色のギザギザした光を放つ。
池澤夏樹 / 真昼のプリニウス amazon
火は、無数の人間の関節が一斉に鳴るようにメキメキと音を立てる
三島由紀夫 / 金閣寺 amazon
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すうッと消えるように出て行った。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
こくこくと搾りたての牛乳を飲むように読んでいった。
森田 たま / もめん随筆 amazon
下宿のように入りびたって
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
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