(人々の行き交う道路で少女と別れる)「さよなら」 睦子はその私を見上げ、少しうるんだ目でうなずくと、思い切ったように駅の方へ歩きはじめた。 人々がすぐ睦子と私の間をさえぎりはじめる。夕方の雑踏の中を遠くなる睦子は、いかにも無力に思えた。薄桃色のワンピースが、大きな背広姿や女たちの間を点のように揺れて、やがて見えなくなった。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 ページ位置:98% 作品を確認(amazon)
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人を見送る
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......して、細かく風に揺れていた。散る葉もあった。「さようなら」 睦子がもう一度そういった。 私はうなずき、睦子を街路におろした。それから漸く無理矢理微笑をつくった。「さよなら」 睦子はその私を見上げ、少しうるんだ目でうなずくと、思い切ったように駅の方へ歩きはじめた。 人々がすぐ睦子と私の間をさえぎりはじめる。夕方の雑踏の中を遠くなる睦子は、いかにも無力に思えた。薄桃色のワンピースが、大きな背広姿や女たちの間を点のように揺れて、やがて見えなくなった。......
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見残した芝居の幕のあとを見届ける気持
岡本かの子 / 母子叙情
窓から手を振った。 見送るものの胸に一瞬刻印される「死」の香りがするさみしさの陰影は、ほんとうに見送られるものと同一だろうか?
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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巣に隠れる鳥のように、(籠ってばかり)
島崎 藤村 / 新生 amazon
四人で仲よくスペイン旅行を楽しんだが、そのときは男性もまじえた四人組なので気も強くなり、場末のレストランや居酒屋ふうの店にもって出かけた。
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
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彼の視線もやはり青豆の姿を捉えていた。とても均質に、切れ目なく。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
通りすぎた男女 の足数でも心に測っているように(じっと見ている)
吉川英治 / 無宿人国記
その花に何か暗示でもあるらしく、煙って濃い瞳 を研ぎ澄し、じーっと見入った。
岡本かの子 / 河明り
体左半分だけのぞかせて、真剣にこちらを見ている
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
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