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頭まですっぽり蒲団をかぶって目を見開いていた。屋根の雪が少し滑り落ちていった。誰かの足音が路地から川べりへと移っていき、やがて聞こえなくなった。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:10% 作品を確認(amazon)
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就寝前に聞こえる音
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......さんはまた癇癪起こして怒鳴りちらすから……」 入れ歯をハンカチで包むと、千代はそのままそこにじっと坐っていた。竜夫は自分の部屋に入り、蒲団を敷いてもぐり込んだ。頭まですっぽり蒲団をかぶって目を見開いていた。屋根の雪が少し滑り落ちていった。誰かの足音が路地から川べりへと移っていき、やがて聞こえなくなった。 蒲団の中の暗闇に、英子の横顔が浮かびあがるようになってもう一年がたつ。幼な馴染みで、小学生のころはよく一緒に遊んだものだったが、中学に入った途端、急に口もきか......
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