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(闇に比べて)いくらか黒さを失った夜があった。 しかし、それとても黒の色調をなにほどか薄くしただけのことで、やはり一様に薄暗い、 黯澹 たる闇が続いていた。ただ一つの光とて見えない。
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:65% 作品を確認(amazon)
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夜
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前後の文章を含んだ引用
......なっていて、二人の腕はその中に潜り込み、一搔きごとに体が埋まった。中はただまっ黒な闇であった。 どれほど手を漕いだかわからない。やがて周囲を覆っていた霧が破れ、いくらか黒さを失った夜があった。 しかし、それとても黒の色調をなにほどか薄くしただけのことで、やはり一様に薄暗い、黯澹たる闇が続いていた。ただ一つの光とて見えない。もうあとへ引き返せない。「さあ、これに乗って」 指先に硬質なものが触れたが、それは自動車らしかった。 敏郎がシートに腰をおろすと、音もなく滑り出した。車はどこま......
単語の意味
色調(しきちょう)
色調・・・色の濃い、薄い、明るい、暗いといった具合。色のトーン。
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窓越しにマロニエの街路樹の影が、銀灰色の暁の街の空気から徐々に浮き出して来た。
岡本かの子 / 母子叙情
私はいすにかけた。正面の窓からまっすぐに陽が 射してきて、久しぶりに浴びる朝の光は、体中にしみてくるようだった。そして朝の台所に立つ母の後ろ姿は、すっきりと小さくて、何だか新婚ごっこをしている高校生みたいに見えた。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
春の雲が西山の入陽をうけて、 茜色 に染まっている。
浅田次郎 / オリヲン座からの招待状「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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