(夜の電車内)向かい側の暗い窓ガラスに電車の内部がそっくりそのまま映っている。まるでもう一台のおぼろな電車が夜のなかを並走しているみたいだ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:27% 作品を確認(amazon)
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車窓からの風景
電車・汽車
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前後の文章を含んだ引用
......いた舌の存在感が、急に口いっぱいに生臭く膨れ上がる。十和子も疲れたやろ、と、その場に立ったまま両手で肩を揉もうとする陣治を、穢らわしさに粟立つ思いで振り払う。 向かい側の暗い窓ガラスに電車の内部がそっくりそのまま映っている。まるでもう一台のおぼろな電車が夜のなかを並走しているみたいだ。くたびれた作業服の陣治と、膝の出たコールテンのパンツをはいて化粧もしていない十和子が、向こう側の電車にも乗っていて、信じられないものを見るような目付きでこちらを......
単語の意味
朧(おぼろ)
朧・・・ボーっとしてはっきりしない。不確かなさま。
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車窓からの風景の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ぼんやり向かい側の車窓から見える動く景色を見ていた。
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 amazon
二人は並んだ顔が景色に透けて、車窓を夜と共に走ってゆくのを見つめ合った。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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電車・汽車の表現・描写・類語(乗り物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
神戸のほうからやって来た電車が架線に青い火花をたてていた。火花は猛烈なスピードで武内の前を過ぎ去って行った。夜の 虚空 を飛んで行くそのひんやりした閃光を見たとき、武内は鈴子に逢おうと思った。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
ごうごうと電車の音ばかり。四方八方電車の唸りだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
今にも錆びつきそうなもの哀しい二両編成の郊外電車
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
機関車が、真っ黒な大きな獣のよう
久米 正雄 / 学生時代 amazon
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「乗り物」カテゴリからランダム5
船は一方の推進機で水を後ろへ、もう一つのでそれを前へやり、時々はそれを止めなどしながら段々と岸壁を離れて行った。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
帆を張った漁船が四五 艘、黒ずんだ 藍色 の海を力強く走っていた。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
機関室で、なつかしいエンジンの音がしている。手をはなしながら、私は沈黙ってエンジンの音を聞いていた。
林芙美子 / 新版 放浪記
「地上・陸地」カテゴリからランダム5
帽子が白く、スカートの青い、そして一条の巻雲を肩飾(エポレット)のように右肩になびかせた日本の女神
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
草原が砂丘のようにゆるやかに起伏する
大岡 昇平 / 野火 amazon
海と空との境目
有島武郎 / 或る女
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