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まだ昼の続きのなかにいて、空の果てでは厚い灰色のカーテンのような雲の裾がバラ色に染まっている。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:97% 作品を確認(amazon)
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夕方
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......ってしまう。軽い恍惚状態に陥る。喉を通過していく声が生温かい質量を持っている。まるで長い柔らかな蛇をズルズル吐いているようだ。 話し終えるのに十分もかからない。まだ昼の続きのなかにいて、空の果てでは厚い灰色のカーテンのような雲の裾がバラ色に染まっている。顔は見合わせずに、二人ともその雲や、薄紫色の陰に沈んだ瓦屋根や、入り組んだ路地を眺めている。「俺が殺ったらよかった」 言いながら煙草を取り出し、吹き付けてくる風......
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日が暮れ、焚火の火の赤さが増した。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
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