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マンションの一部屋の明りが点いたり、消えたり、締め忘れた水飲み場の蛇口から水滴が落ちたり、K君の髪先が風にゆらめいたりするくらいしか、風景の中で動いているものはなかった。ひそやかな夜の息遣いが、聞こえてきそうだった。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:23% 作品を確認(amazon)
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夜のしじま(静けさ)
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前後の文章を含んだ引用
......さのせいだと思うんだ。そんなものが、喪服を優しくしているんじゃないかって……」 坂は、まだまだ続いていた。どこまで続くのだろうと、心配になるくらい長い坂だった。マンションの一部屋の明りが点いたり、消えたり、締め忘れた水飲み場の蛇口から水滴が落ちたり、K君の髪先が風にゆらめいたりするくらいしか、風景の中で動いているものはなかった。ひそやかな夜の息遣いが、聞こえてきそうだった。「うまく言えなくて、ごめん。」 K君がわたしを見た。ごめん、という言葉があまりにもさらりとこぼれ落ちてきたので、わたしは少しあわてた。「うまく言えなくて淋しい思......
単語の意味
風景(ふうけい)
息遣い・息使い(いきづかい)
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
息遣い・息使い・・・息の使い方。息を吸ったり吐いたりするようす。呼吸の調子。
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冬の宵のしんしんとした凍てた空洞のような静謐
芝木 好子 / 女ひとり amazon
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煤を流したような夜の暗さ
芥川 竜之介 / 蜜柑 amazon
夕方の町を歩いて行った。月はまだ低く、澄んだ 群青 の空に輝いていた。西空にまだかすかに、あまい赤が残っていた。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
あや目も知れない闇 の中から、硫黄 が丘 の山頂――右肩をそびやかして、左をなで肩にした――が雲の産んだ鬼子のように、空中に現われ出る。鈍い土がまだ振り向きもしないうちに、空はいち早くも暁の光を吸い初めたのだ。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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