17 も年上の彼の静けさは、思春期の私のありあまるエネルギーを平和なものに中和した。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 ページ位置:15% 作品を確認(amazon)
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おとなしい(静かで穏やか)
恋愛・恋する・恋心
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前後の文章を含んだ引用
......ためにしかたなく8時頃目覚めると、庄司はたいていもうワープロに向かっていた。その単調な音が、淡々と集中した後ろ姿が、幼い頃の母の後ろ姿を思い出させて好きだった。17も年上の彼の静けさは、思春期の私のありあまるエネルギーを平和なものに中和した。彼といると静かだった。笑おうがはしゃごうが、静かだった。たとえ私が学校に遅刻したって、寝ているのを無理に起こしたりしなかった。そのまま学校を休んでも、別に追い出......
単語の意味
春期(しゅんき)
春期・・・春の季節。春の時期。春の期間。
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おとなしい(静かで穏やか)の表現・描写・類語(その他の気分のカテゴリ)の一覧 ランダム5
去勢されたひとのように静か
大原 富枝 / ストマイつんぼ (1957年) amazon
弱々しい視線をテーブルの上へ落して、熱心でも無関心でもない様子で、父親と知人の談話を聞いていた。
岡本かの子 / 母子叙情
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恋愛・恋する・恋心の表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
嵐を好きになってから私は、恋というものを桜や花火のようだと思わなくなった。 たとえるならそれは、海の底だ。 白い砂地の潮の流れに揺られて、すわったまま私は澄んだ水に透けるはるかな空の青に見とれている。そこではなにもかもが、悲しいくらい、等しい。 目を閉じて走っても、全く違う所を目指したつもりでも、気持ちはいつの間にかくり返しそこへたどり着く。そこはいつもとても静かで、いつも彼の面影に満ちているので、私は目を覚ますことなく、ずっと、そこでそのまま眠っていたくなる。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
自分の中に何かが芽生えるのを感じた。 たとえて言えば、気持ちのいい春の 宵、あまりよく知らないけれど好意を持っている女性と待ち合わせをしていて、どこに食事に行こうか、飲みに行こうかと考えながら電車に乗っているときのような浮かれた感じ、今晩やれるかやれないかとかまったく考えなくても、そのひとの整った立ち居ふるまい、私のために装われたスカーフの 柄 とかコートのすそとか笑顔とかをみていると、まるで遠くの美しい風景を見ているように、自分の心までもがきれいになったような気分になれる感じ、ずっと失われていたそういううきうきするものがそのとき、 香るようにふっとよみがえったのだ。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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「その他の気分」カテゴリからランダム5
戸のあらわな木肌は、不意に堯の心を寄辺 のない旅情で染めた。
梶井基次郎 / 冬の日
臆病者が酒を飲んで大胆になる
夏目漱石 / 吾輩は猫である
「恋愛」カテゴリからランダム5
その口づけは、体に棲みついた官能を呼び起こす
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
私は汽車の窓から、ほんとうに冷たい握手をした。
林芙美子 / 新版 放浪記
別居中の妻は実家に帰ったままだった。ダブルベッドの、本来なら彼女が眠るべき位置に身を横たえるたびに、犯しつつある罪の甘美さがうっとりと十和子を包んだ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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