堀川倉子の体の内の、どこへ行くにも苦しみをもちはこんで行く一つの哀れな生命の存在を彼は感じた。その生命の奥深くに、じっとおとなしく けもの のようにひそんでいる苦しみを感じた。
野間 宏 / 顔の中の赤い月「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:84% 作品を確認(amazon)
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儚げな人
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前後の文章を含んだ引用
......た男とが結ばれる……ちょっと、小説だな。》と彼は思った。彼はふと、自分の傍に一つの小さな生命が動いているのを感じた。小さなスカートの下から小さな二本の足を出した堀川倉子の体の内の、どこへ行くにも苦しみをもちはこんで行く一つの哀れな生命の存在を彼は感じた。その生命の奥深くに、じっとおとなしくけもののようにひそんでいる苦しみを感じた。《いや、俺が求めるのは彼女ではない。そしてまた彼女が求めるものもこの俺ではないのだ。このひとは俺の苦しみをどうしようもないと言ったが、俺もまた、この人の苦しみを......
単語の意味
体(からだ)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
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儚げな人の表現・描写・類語(人の印象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
このひとの中にはたしかに大きな苦しみがあるのだ。そしてその苦しみがこの小さな女を圧倒しおしつぶそうとしているのだ。
野間 宏 / 顔の中の赤い月「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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睦月が手を差し出す。あたしも何かを摑むように片手を差し伸べてみる。五本の指があたしの手のひらを握った。それは、とてもしっかりとした握り方だった。力まかせに握りこむのではなくそっと包みこんでくるのに、少しもゆるぎがない。思いがけないほど確かで優しい感覚だ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
惨たらしく変わり果てた子供の 骸(むくろ)
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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