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マッサージをしながら、陣治はよく野山で遊んだ子供のころの話をする。声と言葉つきと手の動き、全部がひとつのリズムに溶け合って、力の抜けた十和子は知らず知らず一緒に陣治の記憶のなかにさまよい込んでいく。《…略…》枕を唾液で濡らしながらそんな話を聞いていると、どうしてか十和子は、沢蟹だけでなく、ウナギも母牛も仔牛も十和子自身なのだという気がしてくるのだ。そうやって半醒半睡の十和子が浮かんでいるところでは、時間も空間も溶け流れ、すべてのものが渾然一体となってさざめき合っている。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:10% 作品を確認(amazon)
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鍼灸師・整体師・マッサージ師 うつらうつら(半分眠ったぼんやり状態)
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前後の文章を含んだ引用
......。不思議は不思議だが、もし陣治がタオルかけをまっすぐ完璧に取り付けられる男だったら、こんなふうには十和子の身体をほぐすことはできないだろうという気もしてくる。 マッサージをしながら、陣治はよく野山で遊んだ子供のころの話をする。声と言葉つきと手の動き、全部がひとつのリズムに溶け合って、力の抜けた十和子は知らず知らず一緒に陣治の記憶のなかにさまよい込んでいく。 赤い沢蟹のことも揉まれながら聞いた。ウナギ捕りの方法も聞いた。捕らえたウナギは、砂をまぶした手で尾から頭へさっと逆撫ですると、ヌルヌルがとれてあっけなく死ぬと......<中略>......なくて夜も立ったまま眠る。体重を支えて立ちっぱなしの母牛たちは、自力で胎児を娩出する力さえなく、牛飼いの男たちが肩まで腕を突っ込んで仔牛を引きずり出すという。 枕を唾液で濡らしながらそんな話を聞いていると、どうしてか十和子は、沢蟹だけでなく、ウナギも母牛も仔牛も十和子自身なのだという気がしてくるのだ。そうやって半醒半睡の十和子が浮かんでいるところでは、時間も空間も溶け流れ、すべてのものが渾然一体となってさざめき合っている。 だが、今日の陣治は口を開こうとはせず、押し黙ったまま静かな力を込めて十和子の背を圧したり、手足の腱をつかんだりする。それでも快さにかわりはない。十和子の身体は......
単語の意味
渾然一体(こんぜんいったい)
さざめき
鰻(うなぎ)
蟹(かに)
渾然一体・・・別々のものが混ざり溶け合って、お互いの区別がつかないほど一体になるさま。「然」は他の語の後ろに付いて、状態をあらわす字。「混然一体」とも書く。
さざめき・・・ざわざわと騒ぐこと。にぎやかに騒ぎ立てること。さんざめき。
・・・ウナギ科、細長い円筒状のヘビのような魚。体の表面は粘膜に覆われ、ぬるぬるして捕まえにくい。深海で産卵し生まれ、成長した春、河川に上る。食用で、脂が多く栄養価が高い。主には蒲焼などにして食べる。
・・・エビ目(十脚類)カニ亜目(短尾類)の甲殻類の総称。水中や水辺にすむ。5対の足のうち第1対は鋏(はさみ)となっていて、捕食に役立つ。横向きに歩行するのが一般的であるが、前向きに歩く種も少なくない。食用。
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(介護施設の食堂は)学生食堂と同じような、でんぷん質のにおいがした。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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ハイエナのようなマスコミが放っておくはずはない。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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