皮膚の下から嬉しさが噴き出しそう

ゆったりとした歓喜が月あかりのように照らすのを感じる

有頂天な心持ちになる

よろこびが次第に水を浴びるような感じで全身の隅々に伝わったのだ。

心が溶けるように嬉しい

喜びが音楽のように残る

金属的な冷たい残響を耳の奥底に曳（ひ）く

声は、耳に流れ込んだあとも、僕たちのまわりに漂っていた。

うららかに晴れ渡った日で、まだ真冬の尻尾が残っている時季

感動が尾を引く

緊張と喜びで全身が固くなりました。

悲しみに似た喜び

気が遠くなるような喜びを感じる

熱心な喜び

喜びで世の中が明るくなった気がする

胸に淡く喜びが通う

体が震えるほど喜びがこみ上げる

胸に喜びが兆し、次第に強固な根を張る

自然な喜びが体を押し浸す

喜びが心の中で渦巻き燃えさかる

心が伸びるような気がする

二人の胸の中に、次第にお父さんの帰ってくる喜びが、水のようにわいて来た。

二人の胸の中に、次第にお父さんの帰ってくる喜びが、水のようにわいて来た。

まるで外国煙草の高い匂いを吸うているように愉しい

嬉しくて宙に浮いている気分

轟音に聞こえた。トンネルを抜けていく特急列車に乗っているみたいだ。

三日ぶりに開いたのに着信もメールもゼロだった。@略@だるまさんがころんだで鬼になって、かなりもったいぶって、だ～る～まさ～んがこ～ろ～んだっ！　とやったのに振り向いたらだれもいなかった、みたいな心境だ。

手が震える。必死にイアフォンのコードを引っ張り耳に突っ込む。麻薬中毒がドラッグを求める姿と似ていた。不安感が自分を押し潰す前に、クスリを投与しなくてはいけない。クスリは耳から注入する。ウォークマンの再生ボタンを押した。 　病院の名は、「ビートルズ」だ。この場合の薬剤師はきっと、「ジョージ・ハリスン」で、薬の名前は、「HERE COMES THE SUN」だった。 　ボリュームを上げ目を閉じ、じっと聴く。「It's All Right」と繰り返される。豊田はそれを自分の中で何度も繰り返した。「大丈夫だ。大丈夫だ。It's All Right」と繰り返し、不安感を取り除いていく。二回同じ曲を聴く。

頭脳に針を刺すように響いた。

ほとんど化石したような、傍目には何の感動も受けてない態度で聞き耳を立てる

晴れ晴れしい

快さに溺れる

心があでやかな思いに吸い込まれる

歓笑する

楽しいときをすごす

（雪が降り積もる夜、病室にいる）街の音も病院の音も、全部雪に吸い込まれてしまって無音だった。この病室が時間からも場所からも切り取られて、宙に浮いているような気がした。

湿ったような沈黙が広がる

（ギターコンサート）《黒いデカメロン》の一曲目〈戦士のハープ〉が、緊迫した、ほとんど魔術的なほどに広大な二オクターヴの跳躍で始まると、会場はもう、つい今し方までとは別の空間になっていた。反復的な旋律が次第に空気を濃くしてゆく中で、ギターの長音が、会場の最も遠いところにまで何にも遮られることなく、真っ直ぐに伸びてゆく。この曲をよく知っている者、知らない者が、それぞれに、その 縹渺 たる響きに驚いた。 　それがまるで一つの予告であったかのように、蒔野はその後、一曲ごとに、とても同じ一本のギターで弾いているとは思えないほどの多彩な表現で、次々と、新鮮な音楽的風景を現出させていった。 　かつての一分の隙もない、あまりに完璧に律せられた世界とも違って、今はむしろ、音楽そのものに少し自由に踊らせて、それを見守りつつ、勘所で一気に高みへと導くような手並みの鮮やかさがあった。それもまた、長い〝スランプ〟の果てに、彼に生じた一つの変化だった。 　聴衆の感嘆は、楽曲が終わる度に拍手に熱を加えていった。

台風みたいな大雨が降っていた。外ではすごい音を立てて雨や風が荒れ狂っていて、階段を上ってくる足音も聞こえなかった。

重い靴の音