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(ギターコンサート)《黒いデカメロン》の一曲目〈戦士のハープ〉が、緊迫した、ほとんど魔術的なほどに広大な二オクターヴの跳躍で始まると、会場はもう、つい今し方までとは別の空間になっていた。反復的な旋律が次第に空気を濃くしてゆく中で、ギターの長音が、会場の最も遠いところにまで何にも遮られることなく、真っ直ぐに伸びてゆく。この曲をよく知っている者、知らない者が、それぞれに、その 縹渺 たる響きに驚いた。  それがまるで一つの予告であったかのように、蒔野はその後、一曲ごとに、とても同じ一本のギターで弾いているとは思えないほどの多彩な表現で、次々と、新鮮な音楽的風景を現出させていった。  かつての一分の隙もない、あまりに完璧に律せられた世界とも違って、今はむしろ、音楽そのものに少し自由に踊らせて、それを見守りつつ、勘所で一気に高みへと導くような手並みの鮮やかさがあった。それもまた、長い〝スランプ〟の果てに、彼に生じた一つの変化だった。  聴衆の感嘆は、楽曲が終わる度に拍手に熱を加えていった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:96% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......一部は、ブローウェルの三部構成の名曲《黒いデカメロン》に始まり、ヴィラ=ロボス、武満徹、ロドリーゴと続いて、再びブローウェルのソナタで締め括られる構成だった。 《黒いデカメロン》の一曲目〈戦士のハープ〉が、緊迫した、ほとんど魔術的なほどに広大な二オクターヴの跳躍で始まると、会場はもう、つい今し方までとは別の空間になっていた。反復的な旋律が次第に空気を濃くしてゆく中で、ギターの長音が、会場の最も遠いところにまで何にも遮られることなく、真っ直ぐに伸びてゆく。この曲をよく知っている者、知らない者が、それぞれに、その縹渺たる響きに驚いた。 それがまるで一つの予告であったかのように、蒔野はその後、一曲ごとに、とても同じ一本のギターで弾いているとは思えないほどの多彩な表現で、次々と、新鮮な音楽的風景を現出させていった。 かつての一分の隙もない、あまりに完璧に律せられた世界とも違って、今はむしろ、音楽そのものに少し自由に踊らせて、それを見守りつつ、勘所で一気に高みへと導くような手並みの鮮やかさがあった。それもまた、長い〝スランプ〟の果てに、彼に生じた一つの変化だった。 聴衆の感嘆は、楽曲が終わる度に拍手に熱を加えていった。 最後のブローウェルのソナタの躍動的な第三楽章を、興奮と共に聴き終えると、まだ第一部の終わりだというのに、思わず立ち上がって、「ブラヴォー!」と叫んだ者までいた......
単語の意味
感嘆(かんたん)
縹渺・縹緲(ひょうびょう)
風景(ふうけい)
拍手(はくしゅ)
感嘆・・・感心して絶賛すること。心から感心すること。
縹渺・縹緲・・・1・広々と果てしないさま。
2.はっきりとは分からないさま。
「縹」は訓読みで「とお(い)」「はる(か)」と読める。「渺」は訓読みで「はる(か)」「かす(か)」と読める。
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
拍手・・・両手の平を打ち合わせて、音を出すこと。神を拝んだり、賞賛や賛成の気持ちをあらわす行為。
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まだ若い、才能とのハネムーンを心ゆくまで楽しんでいるような演奏
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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(ギターコンサート)《黒いデカメロン》の一曲目〈戦士のハープ〉が、緊迫した、ほとんど魔術的なほどに広大な二オクターヴの跳躍で始まると、会場はもう、つい今し方までとは別の空間になっていた。反復的な旋律が次第に空気を濃くしてゆく中で、ギターの長音が、会場の最も遠いところにまで何にも遮られることなく、真っ直ぐに伸びてゆく。この曲をよく知っている者、知らない者が、それぞれに、その 縹渺 たる響きに驚いた。  それがまるで一つの予告であったかのように、蒔野はその後、一曲ごとに、とても同じ一本のギターで弾いているとは思えないほどの多彩な表現で、次々と、新鮮な音楽的風景を現出させていった。  かつての一分の隙もない、あまりに完璧に律せられた世界とも違って、今はむしろ、音楽そのものに少し自由に踊らせて、それを見守りつつ、勘所で一気に高みへと導くような手並みの鮮やかさがあった。それもまた、長い〝スランプ〟の果てに、彼に生じた一つの変化だった。  聴衆の感嘆は、楽曲が終わる度に拍手に熱を加えていった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon関連カテ演奏する・楽器を鳴らすギター・バイオリン・弦楽器コンサート会場
洋子がホールに到着した時には、既に客席の人の潮は満ちつつあった。
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