四角く切り取られた窓灯りのなかで電話をつかんでいるほっそりした身体つきの男が、無限に遠い存在であるような感じに打たれる。その遠い男と自分とが身体の関係を持っているという現実に 眩暈 に似たものを覚える。頭の芯を甘く 痺れさせるこの眩暈にくらべれば、性行為そのものの快感の有無などいったい何ほどのものだろう。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:83% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......いる。計算を待っている間に、水島はまた腕時計を見る。それから、ビジネスバッグから携帯電話を取り出して、着信履歴を確かめているのか、すばやく指を動かしはじめる。 四角く切り取られた窓灯りのなかで電話をつかんでいるほっそりした身体つきの男が、無限に遠い存在であるような感じに打たれる。その遠い男と自分とが身体の関係を持っているという現実に眩暈に似たものを覚える。頭の芯を甘く痺れさせるこの眩暈にくらべれば、性行為そのものの快感の有無などいったい何ほどのものだろう。今、その遠い人物が奇跡のように振り向き、ドアに手をかけ、外に出て十和子の方に歩み寄ってくるのを、信じられない思いで見つめる。「さ、行こうか」 さっきと同じように......
単語の意味
痺れる(しびれる)
暈(かさ)
身体(しんたい)
快感(かいかん)
痺れる・・・ビリビリとした刺激を感じる。また、感動して感覚的にビリビリと感じて、興奮したり魅了されたりする。
暈・・・1.光の輪。ときどき太陽を囲うようにできるドーナツ形の光。また、その現象。ハロ。
2.疲れたときに目の周りに出てくる黒いあざのようなもの。「暈」で「くま」とも読む。
2.疲れたときに目の周りに出てくる黒いあざのようなもの。「暈」で「くま」とも読む。
身体・・・人のからだ。肉体。
快感・・・快(こころよ)い感じ。満ち足りた感じ。いい気持ち。
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沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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(独身でいることの)行先に不安を感じて、養老保険でもかけるように、結婚しようと焦っている
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