モグリかと思うくらいあじけない治療院
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 ページ位置:41% 作品を確認(amazon)
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病院
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前後の文章を含んだ引用
......ただ、口数だけはどんどん減っていった。いちどだけひやかしで行ったそこはマンションの一室で、ベッドはひとつしかなく、病気の人々が静かに列を作り長いすで待っていた。モグリかと思うくらいあじけない治療院だった。白衣を着たとかげがそのなかを静かに歩き回っている。変な感じだった。とかげは優しい言葉もかけないし、愛想がいいわけでもない。だから症状が軽くて切実じゃない......
単語の意味
味気無い(あじけない・あじきない)
味気無い・・・面白味や魅力がなくて、つまらない。味わいが少なく、風情に乏しい。
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海岸から道路をひとつ隔てた広い敷地に、その療養所は建っていた。もともとは財閥関係者の別荘だったものが、生命保険会社の厚生施設として買い取られ、それがまた近年になって主に認知症患者を扱う療養所に変えられた。だから古い趣のある木造の建物と、新しい三階建ての鉄筋の建物が混在して、見るものにいくぶんちぐはぐな印象を与える。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
病院の窓々にはうるんだ灯がともり、港にはいる満艦飾の船のように見えた
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
廊下には消毒薬の臭いに垢くさい臭いが漂っている。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
(病院は古めかしい木造の建物で)病院特有の強い消毒液の匂いはなく、そのかわり汗と果実のまじりあったような臭気に満ちていた。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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(夜の教室)規則正しく並んでいる机と椅子は、無名戦士の共同墓地を思わせる
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
千葉の刑務所は町からはなれたところにあって、旧陸軍の小兵舎の改造をしたものだった。近くに新築の小住宅がぼつぼつと建っていたが、以前の荒野の面影は残っていた。その代り外界を防ぐ高いコンクリート塀はなく、米軍の施設のように金網が周囲にめぐらされているだけだった。
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
ほうきの目が見えるほど綺麗に掃除が行きとどいた境内
山本 有三 / 波 amazon
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