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きょうもまず命は無事だったという底深い喜びがひとりでにわき出して来て、陸に対する不思議なノスタルジヤが感ぜられる。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:65% 作品を確認(青空文庫)
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漁師・漁夫
命拾い・九死に一生を得る
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前後の文章を含んだ引用
......電峠の突角がいかつく大きく見えだすと、防波堤の突先 にある灯台の灯 が明滅して船路を照らし始める。毎日の事ではあるけれども、それを見ると、君と言わず人々の胸の中には、きょうもまず命は無事だったという底深い喜びがひとりでにわき出して来て、陸に対する不思議なノスタルジヤが感ぜられる。漁夫たちの船歌は一段と勇ましくなって、君の父上は船の艫 に漁獲を知らせる旗を揚げる。その旗がばたばたと風にあおられて音を立てる――その音がいい。 だんだん間近に......
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玉の緒で炊 き上げたような飯を食って一生を過ごして行かねばならぬ漁夫の生活
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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死の 篩 にかけられて、生き残った人たち
百田尚樹「永遠の0」に収録 amazon
命拾いしたのだからこれくらい大きな幸運はあるまい。 単に命が助かっただけではない。一旦は絶望していた仕事への希望が戻ってきた。
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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咽喉に黒い紐が毒蛇のように深く食い込む
斎藤 栄 / Nの悲劇 amazon
善三郎は裃を帯のあたりまでするりと脱ぎ、上半身を裸にした。慣例に従って、念入りに両袖を膝の下へ敷き、後方へ倒れないようにした。身分のある立派な武士は、前向きに死ぬものとされていたからである。善三郎はしっかりした手つきで、目の前に置かれた短刀を慎重に取りあげ、さもいとおしげにこれを眺めた。それは、しばし最後の覚悟に思いを 馳せているかのように見えた。 次の瞬間、善三郎は短刀で左の腹下に深く突き刺し、ゆっくりと右へ引いた。さらに今度は刃先の向きをかえてやや上に切り上げた。このすさまじい苦痛をともなう動作の間、彼は顔の表情ひとつ動かさなかった。そして短刀を抜き、身体を少しばかり前方に傾け首を差し出したとき、初めて苦痛の表情が彼の顔をよぎった。が、声はまったく立てなかった。そのとき、咎人のかたわらに身を 屈め、事の次第を終始見守っていた介錯人が立ち上がり、一瞬、白刃が空を舞ったかと思うと、重たい鈍い響きとともに、どさっと倒れる音がして、首は胴体から切り離された。 堂内、水を打ったような静寂。目前のもはや動かない肉塊から血潮の吹き出る忌まわしい音だけが、静寂を破っていた。
新渡戸稲造 訳:岬龍一郎「いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道 (PHP文庫)」に収録 amazon
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