(脳卒中による手のしびれ)指先に 挾んだ煙草が落ちたのは、そのときである。 風かな、と思った。 ふっと風にもってゆかれた、そんな感じだった。
向田邦子 / かわうそ「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:8% 作品を確認(amazon)
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風を受ける
脳卒中
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前後の文章を含んだ引用
......らしく、いつもは二言三言で引き下るのだが、この日は妙にしつこかった。宅次もいつになく尖った声で、「マンションなんか建てたら、おれは働かないよ」 と言い返した。 指先に挾んだ煙草が落ちたのは、そのときである。 風かな、と思った。 ふっと風にもってゆかれた、そんな感じだった。「風があるのかな」 宅次は呟いた。「風なんかないでしょ。風があれば、洗濯もの、乾いてますよ」 厚子は縁側に出てくると、自分の人さし指をペロリと嘗め、蠟燭を立てる......
単語の意味
指先(ゆびさき)
指先・・・手や足の、指の先端。指の先っぽ。指頭(しとう)。指端(したん)。
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痺れる・麻痺するの表現・描写・類語(刺激のカテゴリ)の一覧 ランダム5
両腕は全然感覚を失って、肩からぶら下っている鉛筆のようにきかなくなっていた
牧野 信一 / ゼーロン amazon
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風を受けるの表現・描写・類語(風のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(人力車)幌 にのしかかって来る風に抵抗しながら車は闇 の中を動き出した。
有島武郎 / 或る女
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脳卒中の表現・描写・類語(健康・体調・病気のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(脳卒中の発作)宅次は起きぬけに朝刊を取りにゆき、茶の間へもどったところで、障子の桟につかまりながら、わからなくなった。
向田邦子 / かわうそ「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
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「刺激」カテゴリからランダム5
指にちくちくと霙(みぞれ)が降っているような痛みを感じる
ジュール・ルナール / にんじん amazon
頭痛がして、どこともなく鈍い臼歯(きゅうし)で噛みつかれているような苦しさから逃れようもない重圧を感じさせる。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
頭がシャボン玉式にふくらむような頭痛
島田 雅彦 / 観光客「ドンナ・アンナ (新潮文庫)」に収録 amazon
「風」カテゴリからランダム5
巨獣が吼えるごとくごうごうと哮(たけ)って吹きあたる風の音
長与 善郎 / 青銅の基督 amazon
風が、鉄橋をヒュウン、ヒュウンと面白そうに鳴らす
椎名 麟三 / 美しい女 amazon
自動ドアに少し隙間があるのか、風が集まり、ヒュー、ヒュー、と気味の悪い音を立てている。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
風が今にも梢から月を落としそう
国木田 独歩 / 武蔵野 amazon
(ノートで扇ぐ)くたびれた表紙のノートが、かすかな風を生み続けている。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
「状態・状況」カテゴリからランダム5
主人の論理には大 なる穴がある。この垣よりも大いなる穴がある。呑舟 の魚をも洩 らすべき大穴がある。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
境遇や何かのために下積みになっていたいいものが、順当な光で育ちだす
宮本百合子 / 伸子
「健康・体調・病気」カテゴリからランダム5
私たちの身体は機械じかけで、ある程度身体の中が成長すると大人のスイッチが入って、そのしるしに少し血が出る。私は漠然と、そんなふうに思っていた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
まるで自分自身の背筋を蛇の肌で 撫でられたような 悪寒 を覚えた
阿刀田 高 / 来訪者「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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