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(ピアノの)連弾が始まった。 音の粒がぱっと広がった。《…略…》黒い瞳からも、上気した頰からも、肩先に垂らした髪の先からも、生きるエネルギーが立ち上るようだった。そのエネルギーを指先で変換してピアノに注ぐ。それが音楽に生まれ変わる。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 ページ位置:19% 作品を確認(amazon)
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演奏する・楽器を鳴らす
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前後の文章を含んだ引用
......業だった。「ちょっと弾いてみていいですか」「もちろんです」 由仁がピアノの前の椅子にすわった。和音もすわった。ああ、このための椅子二脚だったのだ、と思うまもなく連弾が始まった。 音の粒がぱっと広がった。くるくるくるっとした曲だった。何という曲なのか知らない。ふたごたちはいきいきとしていた。黒い瞳からも、上気した頰からも、肩先に垂らした髪の先からも、生きるエネルギーが立ち上るようだった。そのエネルギーを指先で変換してピアノに注ぐ。それが音楽に生まれ変わる。たしかに楽譜があって、そこに必要な音符が書かれているのだろうけれど、奏でられる音楽は完全にふたごたちのものだった。今ここで聴いている僕のためのものだった。「素晴......
単語の意味
上気(じょうき)
肩先(かたさき)
指先(ゆびさき)
上気・・・頭に血が上ってぼーっとなること。のぼせること。のぼせて顔が赤くなること。
肩先・・・肩の先端。肩の、腕の付け根の部分。肩の上部。肩口(かたぐち・かたくち)。
指先・・・手や足の、指の先端。指の先っぽ。指頭(しとう)。指端(したん)。
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(ピアノ)低音は重いハンマーで叩くように、高音は猫の足が歩くように、音と音とが絡み合いもつれあう
五木 寛之 / 海を見ていたジョニー amazon
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まずこちらの話を聞いてくれ、と。しかし声は出てこなかった。声帯を震わせるだけの空気がそこにはもうなかったし、舌も喉の奥で石のように固まったままだ。気管は今では隙間なく塞がれていた。空気は一切入ってこない。肺は新鮮な酸素を死にものぐるいで求めていたが、そんなものはどこにも見当たらない。身体と意識が分割されていく感覚があった。身体が寝袋の中でのたうち続けている一方、彼の意識はどろりとした重い空気の層に引きずり込まれていった。両手と両足が急速に感覚を失っていった。なぜだと彼は薄れていく意識の中で問いかけた。なぜ俺がこんなみっともないところで、こんなみっともない格好で死んでいかなくてはならないんだ。もちろん答えはない。やがて辺縁を持たぬ暗闇が天井から降りて、すべてを包んだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
岡本かの子 / 母子叙情
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ホテルの廊下や広間の床が、秋の淡い雲が写る鏡のように静か
川端 康成 / 掌の小説 amazon
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