(入口も出口もふさがれた路地)その道はまるで放棄された運河のように人知れずとりのこされ、利用するものもなく、家と家を隔てる緩衝地帯のような役割を果している
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 ページ位置:43% 作品を確認(amazon)
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荒野・荒れた土地
路地・小道
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前後の文章を含んだ引用
......はもともと殆んどその道を通路として利用していなかったから、両方の入口を塞がれたところで誰も文句を言わなかったし、防犯のためにはその方が好都合だった。だから今ではその道はまるで放棄された運河のように人知れずとりのこされ、利用するものもなく、家と家を隔てる緩衝地帯のような役割を果しているだけである。地面には雑草が茂り、いたるところに蜘蛛がねばねばとした巣をはって虫の到来を待ち受けていた。 妻がどうしてそんなところに何度も出入りしていたのか、僕に......
単語の意味
隔てる(へだてる)
隔てる・・・間に何か置く。間に何か置いて交流や行き来できないようにする。時間的、空間的に間をあける。
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激戦地の跡もかくやと思わせるほど、巨大な根株や丸太が散乱している洪水の跡
太宰 治 / 津軽 amazon
暗緑の樹林はどんよりとした雨空の下に荒涼として横たわっていた。それはみじめな姿だった。
有島武郎 / 或る女
野ざらしにされた白いベンチが朽ちかかっている。敷き詰められたタイルの目地からは、濃い緑色の雑草が我が物顔で伸びている。 飼い主の手を離れて、野生化した時間の群れ。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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路地・小道の表現・描写・類語(道・道路のカテゴリ)の一覧 ランダム5
車の通れない狭い登り坂。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
横に切れた路地
林芙美子 / 新版 放浪記
狭く咽喉のようになった往来
岡本かの子 / 巴里祭
僕は庭のブロック屛をのりこえて「路地」に下りた。 「路地」とは言っても、それは本来的な意味での路地ではない。正直なところ、それは 何とも 呼びようのない代物なのだ。正確に言えば道ですらない。道というのは入口と出口があって、そこを辿っていけば然るべき場所に行きつける通路のことだ。 しかし「路地」には入口も出口もなく、それを辿ったところでブロック屛か鉄条網にぶつかるだけのことだ。それは袋小路でさえない。少くとも袋小路には入口というものがあるからだ。近所の人々はその小径をただ便宜的に「路地」と呼んでいるだけの話なのだ。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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「地上・陸地」カテゴリからランダム5
大地がムッとするような暖かい湿りを発散する
カレル チャペック / 園芸家12カ月 amazon
奇妙なほどつるりとした円錐形の山が見えた。その先端はまるで巨大な力でねじまげられたような形にゆがんでいる。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
三つの山並みが金色、赤褐色、薄い紫色の三つの鮮やかな対抗色を見せてそびえる
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
何ひとつ遮るものもない荒野
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
「道・道路」カテゴリからランダム5
三十分ほど進んだところでアスファルトの舗装が突然消え失せ、道幅も半分になった。両側の暗い原生林が巨大な波のように車に向ってどっと押し寄せてきた。空気の温度が何度か下がった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
産業道路としても利用されているこの道路は大型車が頻繁に通り、ディーゼルの黒煙や砂埃が絶えず舞っている。
羽田 圭介「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 amazon
緇い正確な溝のような路地
葛西 善蔵 / 悪魔「葛西善蔵全集〈第1巻〉 (1974年)」に収録 amazon
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